飯塚花笑監督最新作『ブルーボーイ事件』実在の事件から着想を得た、性的マイノリティの歴史を描く物語

飯塚花笑監督最新作『ブルーボーイ事件』実在の事件から着想を得た、性的マイノリティの歴史を描く物語

<スタッフ&キャストコメント>

●飯塚花笑(監督)

「『ハタチ過ぎたら誰もがみんな自殺だわね…』これは『ブルーボーイ事件』の映画化にあたり、資料の山に埋もれていたときに出会った1950年代のゲイバー(当時はゲイバーと表現されていたお店で)に出入りしていた、一人の名もなき性的マイノリティの言葉です。嫌に昭和的な口調と、ルポ本に添えられたスナップ写真がこの言葉に重みを付け加え、いまもずっと私の胸のなかに居座っているように感じます。この映画でトランスジェンダー当事者の俳優を主演に起用し、オリジナル作品として取り組むことを心に決め、走り始めてから6年余り。映画が完成したいま思うのは、ずっとこの日本の社会の中に存在していたのに、無かったことにされて来た声たちが私を突き動かしていたのだということです。『ずーっとここにいたんだよ…』この映画が広く、そして深く皆様の心へ届きますように。この物語は私たちの物語であり、“貴方”たちの物語です」

●中川未悠(サチ役)

「サチ役を演じさせていただきました、中川未悠です。初めてのお芝居、初めての映画出演、初めてお会いする人たちばかり。全てが私にとって初めてで、不安が大きかったですがキャストの皆さん、スタッフの皆さんに優しく接していただいたので凄く楽しい現場でした。サチを演じさせていただくからには、一人でも多くの人に希望をもって生きてもらいたい!と思いながらお芝居に取り組みました。ブルーボーイ事件は事実に基づいたお話しなので、より身近に感じていただきやすいストーリーになっています。登場人物一人一人の想いがたくさん詰まった、愛のある作品です!まだまだ差別や偏見はありますが、私はこの作品を通じて誰もが幸せになる権利があることを伝えたいです。私は今回サチに出会い、サチの言葉に勇気をもらえました。観て下さる方々も勇気や希望をもらえると思います。是非、映画館でご覧ください」

●遠藤日登思(プロデューサー)

「『オリジナル脚本で映画を作ろう』という呼びかけに集まった企画の中に『ブルーボーイ事件』がありました。約6年前のことです。当時、私はこの事件のことを知りませんでした。企画書や資料を読み、日本の性別適合手術の歴史を知っていくなかで、50年以上前、確実に存在し証言台に立った3人のトランスジェンダーのことを想像しました。そして、飯塚監督が当事者の一人として感じてきたこと、当事者の役は当事者に演じて欲しいという強い思いを聞き『映画にしなくては』と思いました。とはいえ、当事者の方のキャスティングを実現させるのは簡単なことではなく手探りのオーディションを進めました。同業者からは『難しいことをしてるねぇ』と言われたこともしばしば。途中コロナ禍で挫折しかけた時も並走してくれたプロデューサー陣、脚本チーム、そしてオーディションに集まっていただいたトランスジェンダーの皆さんにあらためて感謝します。感想は人それぞれでも、観ていただければ必ず熱の伝わる映画が完成したと思います」


文/鈴木レイヤ

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