「ファイナル・デスティネーション」最新作が北米で大旋風!「驚異的なリブート」と絶賛に包まれ、たった6日でシリーズ最大のヒット作に
先週末(5月16日から5月18日まで)の北米興収ランキングは、14年ぶりに復活を遂げたホラーシリーズ「ファイナル・デスティネーション」の最新作となる第6作『Final Destination: Bloodlines』が初登場でNo. 1を獲得。まずはこれまでのシリーズ作を、興行成績を含めて簡単にプレイバックしていくことにしよう。
当時大ブームだった青春スラッシャー映画の新たな切り口として、殺人鬼ではなく目に見えない死神を相手にするというユニークさで好評を博した『ファイナル・デスティネーション』(00)からスタートした本シリーズ。大事故を予期し、死から一時的に免れた登場人物たちに、逃れられない“死の運命”が迫っていくというのが毎回共通した流れというのはとてもシンプルだ。
飛行機事故を免れた高校生たちを描いた第1作が、制作費2300万ドルで北米興収5000万ドル超え、全世界興収も1億1200万ドルに到達するスマッシュヒットとなりシリーズ化。その後はハイウェイ、ジェットコースター、サーキット、吊り橋と、きっかけとなる事故のシチュエーションを変えながら、スプラッターホラー色を強めていく。とりわけ3Dで製作された第4作と第5作は、過剰な残酷描写を押し出した悪趣味な作品になってしまったことは否めない。
それでも比較的ローバジェットを維持し続けたことが功を奏し、興行的な安定感はまずまず。オープニング興収2740万ドル、北米興収6647万ドル、全世界1億8600万ドルを記録した第4作が最大のヒット作となり、複数のシリーズ作の計画があったものの実現には至らず。第5作の興行的な伸び悩みと、そもそもシリーズ自体がマンネリ化していたこともあり、結果的に再始動まで14年もの月日が流れたのである。いずれにしても、これが四半世紀続くシリーズになると誰が予期していただろうか。
さて今回の第6作は3523館で公開され、初日から3日間の興収は5160万ドル。これはシリーズ最高のオープニング成績であり、たった3日間で第2作と第5作の最終興収を上回り、なんと6日目にはあっさりとシリーズ歴代1位のヒット作に。塔の爆発事故という導入のパターンは共通しつつも、それが長い年月を経て生存者の家族へと降りかかるという、これまでにないストーリー展開が目新しく映ったのだろうか。
しかも批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は92%、観客からのそれも88%と、予想外の大絶賛の嵐。この手のホラーシリーズは批評家からそっぽ向かれがちであり、過去5作品の評価は第5作の63%がトップ。また観客からの評価も第1作の68%を超えるものがなかった。それだけに今回の評価の高さは別格であり、一部の批評家からは「驚異的なリブート」との声も上がるほど。
引き続き好調を維持している『罪人たち』(6月20日日本公開)も然り、『Clown in a Cornfield』や『Until Dawn』と、トップ10のうち4作品を占めるほど絶好調期に突入しているホラー作品。この盛り上がりがいつまで持続するのかあたたかく見守っておきたい。
文/久保田 和馬