押井守監督「いつかやる機会は絶対あると思っていた」映画『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』完成披露上映会で「ボトムズ」への愛を熱弁

押井守監督「いつかやる機会は絶対あると思っていた」映画『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』完成披露上映会で「ボトムズ」への愛を熱弁

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サンライズ 50 周年記念作品となる「装甲騎兵ボトムズ」シリーズ完全新作『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』(11月20日公開)の完成披露上映会が11月8日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催され、押井守監督、沢城みゆき、安藤麻吹、三木眞一郎、上坂すみれが登壇。“ボトムズ”に懸けた想いを語った。

【写真を見る】“灰色の魔女”アッシュ・ヴァンプス役の沢城みゆき。白いドレスで登壇!
【写真を見る】“灰色の魔女”アッシュ・ヴァンプス役の沢城みゆき。白いドレスで登壇!

「装甲騎兵ボトムズ」は、1983年から84年にかけてテレビシリーズが放送された、高橋良輔原作・監督、サンライズ制作のリアルロボットアニメ。ギルガメスとバララントという2大勢力が争うアストラギウス銀河を舞台に、百年戦争末期の作戦に巻き込まれた兵士キリコ・キュービィーの過酷な運命を描いた。アーマードトルーパーと呼ばれる人型兵器、乾いた戦場描写、戦争の中で翻弄される兵士たちの姿が特徴で、40年以上にわたって支持されてきたシリーズだ。本作は、その「ボトムズ」シリーズを全二部作で描く新たな劇場作品。荒れた戦場、無骨な兵器、得体の知れない存在が交差する、ボトムズらしい硬質な戦争アクションが展開されていく。

役へのアプローチについて解説した沢城
役へのアプローチについて解説した沢城

“灰色の魔女”アッシュ・ヴァンプス役の沢城は、収録前に押井監督と話した際に、“ある概念の象徴みたいなキャラクター”ということをざっくりと把握していたと振り返り、「その概念い、実際に肉体を持たせて稼働させてく時に、どう演じるのか…というのが難しかったのですが、お話のなかで何度か出てきた、独特のポリシーを持っている人ということとか、兵士は戦場では平等であると思っているようなところがヒントなのかなと思い、そこを真ん中に動かしていったというような感じでした」とアプローチを説明。

マキ・シュタウフェンベルク役の安藤麻吹
マキ・シュタウフェンベルク役の安藤麻吹

アッシュの謎を追う密命を帯びた女性士官、マキ・シュタウフェンベルク役の安藤は「作品のなかで私がやるべきことというのが、説明セリフではなく生きたセリフとして、役の感情を通して観ている皆さまにお伝えすることができるように、ということにポイントを高く置いて演じたつもりです」とし、「それをやることにより私の役も立体的に浮かび上がってきたというか。みなさんのキャラクターや、世界観をいただいて作り上げていったという感じです」と振り返る。さらに「人間は動機があってなにかを起こすのですが、その動機が言葉にならないような、なんか気になっちゃう、運命かもみたいな。そういうようなたいしょうがアッシュだったのかなという感じもします」とアッシュに対するマキの想いを想像し語っていた。

アリクス・バラック役の三木眞一郎
アリクス・バラック役の三木眞一郎

マキの直属の部下のアリクス・バラック役の三木は、「彼は実直で真面目。あと何個か特徴はあるのですが、これ以上言うと怒られると思うので言えないのですが…」と後編につながるヒントになるであろう彼のキャラクターをふんわりと伝えながらニヤリ。「いろいろな意味の立ち位置があるなかで、彼の振る舞いや、緊張感、そういった空気の密度みたいなものには注意しながらやらせていただきました」と演じ方を解説。MCが「マキと2人きりになる時には砕けた会話になっている。そこになにか象徴的なヒントがあるように感じました」と語ると、「うまい具合におっしゃっていただいて…」と三木がネタバレ回避の解説に感謝し、「具体的に云々ではなく、セリフとセリフの距離感で、うまく感じ取っていただけたらいいなと思います」と呼びかけていた。

整備兵の少女役の上坂すみれ
整備兵の少女役の上坂すみれ

大の「ボトムズ」ファンであり、本作では菅生隆之演じるヴァイスヴァイラー(第601降下猟兵大隊附き少尉)と共に整備中隊で働く少女を演じる上坂は、本作への参加を心から喜び満面の笑みを浮かべ、「『こんなに量産機が主役の作品があるんだ、ありがとう!』という気持ちでテレビ版を一気に観て。おもしろいし、音楽はかっこいいし、次回予告はすごいし…」と作品との出会いを振り返り魅力を熱弁。
「15年ぶりの新作にまさか自分がキャストとして参加できるなんて…。生きててよかったなーという気持ちでいっぱいです!」と大興奮の上坂は「『灰色の魔女は、スコープドッグたち、ATたちがより兵器らしく描かれていて、スコープドッグの頭がちょっとひっちゃくなっていて。より兵器っぽさも、そして、押井さんならではのめくるめく飛行機のカッコイイシーンも楽しめて。ATが肉弾でガンガンいくところも本当にかっこよくて。そういった消耗品のATたちを整備する整備兵の役をできるなんて…あぁって感じですね」と喜びが言葉にならない様子。さらに「名前もない(役)。セリフもかなり限られているのですが、とても象徴的な描かれ方をしていて、この子はどういう子なんだろうっていうのがすごく気になるキャラクターだなと思いました」と作品の魅力から、自身の役どころまで、ファン目線、参加したキャスト目線それぞれでたっぷりと語りつくしていた。

自身も「ボトムズ」ファンだと語った押井守監督
自身も「ボトムズ」ファンだと語った押井守監督

「僕の作品であると同時に(高橋)亮輔さんの作品でもあるので、世界観をとにかく絶対壊さないようにしようということを意識しました。多分、皆さんはそれを一番心配されていたのかなと思います」とこの日のイベントで、何度も「皆さんが心配していた点」と口にして笑いを誘っていた押井監督。ニヤリとしながら「またなにかやらかすんじゃないかって(笑)。いや、それは考えすぎなんですよ」と会場に語りかけ笑わせた押井監督は「私も職業監督。ましてやサンライズさん、バンナムさんの大事なIPですから、そんなにね、めちゃくちゃやれるわけないんで(笑)。僕自身も『ボトムズ』のファンで、いつかやる機会は絶対あると思っていました。ようやくその機会が回ってきたので、大事にするというよりは、やりたいことは最初から全部決まっていたので、なんの苦労もなかったというか…。自分がやりたかったことを全部詰め込んだだけです!」と作品への想いを明かし、大きな拍手を浴びる。「アッシュや、マキは基本、言ってみれば初見さんではないんです、私にとっては…」と続けた押井監督は「自分のなかではある程度完成したキャラクター。名前を変えて、シチュエーションを変えて、ちょっとずつ煮詰めていったというか。多分、今回のアッシュは最終形態に近いかなっていう感じがしています」と、キャラクターの造形の経緯を解説していた。

上坂のぶっ飛んだ泥酔エピソードにキャストも観客も大爆笑
上坂のぶっ飛んだ泥酔エピソードにキャストも観客も大爆笑

イベントでは「九死に一生を得た」エピソードをキャストがフリップトークするコーナーも。三木と上坂が泥酔トークで被るなど、和気あいあいとした雰囲気のなか、それぞれのエピソードを披露し盛り上がっていた。

観客と一緒に記念撮影
観客と一緒に記念撮影

最後の挨拶で押井監督は「自分で想像したよりもいい作品になったと思います」と胸を張り、「久しぶりのアニメーション。新しいスタジオで新しいスタッフさんとやった最初の仕事なので、うれしいです」と充実感を滲ませる。「ちょっと初心に帰ったような気分で、やらせていただきました」と語った押井監督は「音のバージョンもいろいろあるので、聴き比べていただけるとうれしいです。音楽も含めて音響もしっかり堪能していただけると思っています」とアピールし、大きな拍手に包まれながらイベントを締めくくった。


取材・文/タナカシノブ

※高橋良輔の「高」は「はしごだか」が正式表記。

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