「『ワイルド・スピード』と張り合っても仕方ない(笑)」三池崇史監督が語る、“ヤバイ”映画への回帰と自由な作劇

「『ワイルド・スピード』と張り合っても仕方ない(笑)」三池崇史監督が語る、“ヤバイ”映画への回帰と自由な作劇

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三池崇史監督がハリウッドの新進気鋭スタジオNEONとタッグを組み、小栗旬とハリウッドのトップ女優リリー・ジェームズを迎えた『バッド・ルーテナント:トウキョウ』(公開中)。1992年の第45回カンヌ国際映画祭において高く評価された伝説的映画『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』をベースに、オリジナルのDNAを継承しつつ、物語の舞台を東京に移し、新たな形で生まれ変わらせた作品だ。

MOVIE WALKER PRESSでは、かつてのVシネマのような世界が待ち望む“ヤバイ”映画に回帰した三池崇史監督に直撃インタビューを敢行!悪徳刑事・ヤクザ・歌舞伎町とアウトロー要素が詰まったハリウッドとの共同プロジェクトの裏側をたっぷり語ってもらった。

日本が世界に誇るバイオレンスの巨匠・三池崇史監督にインタビュー!
日本が世界に誇るバイオレンスの巨匠・三池崇史監督にインタビュー!

新宿・歌舞伎町で生きる矢吹恭二(小栗旬)は、ドラッグやギャンブルに溺れ、相棒を殺した噂もある最悪の刑事だった。ヤクザをねらう連続猟奇殺人事件が発生し、捜査を進める矢吹は石塚満(間宮祥太朗)を容疑者として特定する。ある日、矢吹の前にFBI捜査官グエン(リリー・ジェームズ)が現れ、コンビを組んだ2人は日本で行方不明となった次期アメリカ大統領の娘(リヴ・モーガン)を捜索することになる。

三池崇史、危険な〈原点回帰〉

――かつてのVシネマ時代の作品や『殺し屋1』のような作品を、また観たいという声は多くありましたが、『バッド・ルーテナント:トウキョウ』は、そうした〈原点〉に最も接近した快作でした。

「考えてみると、いつも原点界隈をうろうろしているんだよね(笑)。遠くに行けないというか、その辺をぐるぐるぐるぐる回ってる」

ベースとなったアベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』
ベースとなったアベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』[c]EVERETT/AFLO

――今回プロデューサーを務めたサム・プレスマンさんの父は、『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』をプロデュースしたエドワード・R・プレスマンさんですね。この作品を原点に日本で新たに作るにあたって、なにか約束事などはありましたか。

「こんな作品にしてくれ、というのはまったくなしでした。『これを日本でやると、どう料理する?』っていう感じで、最初から自由を与えてくれました。どんな話になるのかも、基本的にこっちが提示する形だったので、それならと、こっちの切り札として脚本を天願大介に。この人は脚本家と言っていいのか、監督と言っていいのか、今村昌平の息子と言っていいのか、日本映画大学の学長と言っていいのか…(笑)」


――三池監督の『オーディション』『十三人の刺客』などで脚本を手がけてきた天願さんと組むのは久々ですね。

「本当に久しぶり。でも、書いてくれと言えば、書き上げるまでが早いんですよ。書いているうちに、登場人物たちが勝手に暴れ出すみたいでね。そういう感覚を自分も持っているので、その意味では楽というのとは違うんだけど、ストレスなく仕事ができましたね」

――劇中には、人間が肉団子になって“鳥葬”される場面が出てきますが、あれは天願さんのアイデアですか?

「そうです。今村昌平さんの『楢山節考』ですね。この映画に、あの死生観を持ち込んだところが独特ですよね」

小栗旬が史上最悪の汚職刑事=バッド・ルーテナントを怪演
小栗旬が史上最悪の汚職刑事=バッド・ルーテナントを怪演[c] 2026 BLT TOKYO LIMITED. All Rights Reserved.

――『楢山節考』には、老人を山に棄て、その亡骸を鳥が啄んだことがわかる場面がありました。『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』では宗教が大きな要素を占めるだけに、日本で作るなら、そこをどうするのかと思っていましたが、まさかの“鳥葬”でした。

「その点についてだけは、天願さんといくつかやりとりがありました。主人公の刑事が五島列島の出身で、隠れキリシタンの末裔という設定にして、彼の根っこにはキリストがいると。それがいろいろあって、東京で刑事をやるようになった、という話にもできるよね、ということを言ってたんですが、でも、それって『復讐するは我にあり』だよね(笑)」

本作はハリウッドスタジオNEONが、企画段階から北米配給を決定
本作はハリウッドスタジオNEONが、企画段階から北米配給を決定[c] 2026 BLT TOKYO LIMITED. All Rights Reserved.

――今村昌平監督の『復讐するは我にあり』は、カトリック信者の家族の物語で、神と信仰と犯罪が絡んでくる映画だけに、『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』を日本でやろうとすると今村映画になってしまうのはおもしろいですね。

「そうなると、個人を描く物語になってしまうので、みんながいろんな事情を抱えて生きているという話であるべきなんじゃないか、ということで、どんどん削ぎ落としていったんですよね。それで天願さんのなかで、キリストの代わりに自然界のものに癒しや死を求める発想が生まれてきたんじゃないですかね」

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