UTA、DC映画『クレイフェイス』に共鳴「きっと僕も同じ選択をする」“ガス人間”を演じた俳優が語る、怪物の悲しみ
「実はクレイフェイスがちょっとうらやましい」
普通の人間が、ある日突然“怪物”へと変容する。『クレイフェイス』でマットが経験するあまりにも残酷な運命は、どことなく「ガス人間」でUTAが演じた堤田蓮の体験と重なるものがある。「“怪物”になった青年の復讐を描く物語という点でも共通していますし、マットとナオミ・アッキー演じるケイトリンの関係は、『ガス人間』で僕が演じた蓮と、蒼井優さんが演じた京子の関係とも似ているものがあると思います」と、UTAは分析する。
「でもマットとケイトリンの間には恋愛感情に近いものが芽生えますが、蓮と京子の場合は親子というか、家族のような愛情が芽生えるという違いもあります。どちらにしてもスリリングな物語のなかにヒューマンドラマを強く感じさせてくれる、魅力的な要素といえるでしょう」。そう語りながらUTAは“ガス人間/堤田蓮”としての立場から、「実は『クレイフェイス』を観た時に、マットがちょっとうらやましいと思ってしまったんです」と告白する。
「ガス人間」の蓮は、異形の存在である“ガス人間”と化してからは自らの意思は持たない。廃墟の奥で石像化して眠り、サザンオールスターズの「いとしのエリー」を聴くことで目を覚ますと、誰かの指示によって次々と凶行に及んでいく。「ただ操られていただけの蓮と違って、マットは自分の意思で変身したり、自分を裏切った人たちに復讐をすることができる。ヴィランではあるけれど、まるでスーパーヒーローと同じように選択する自由がある。もしガス人間も自分の意思で動くことができていたら…なんてついつい想像してしまう自分がいました」。
そんなUTAはかねてからDC作品のファン。そのきっかけになったのは、クリストファー・ノーラン監督が手掛けた「ダークナイト」三部作だったという。「もちろん『ダークナイト』も大好きですが、『ダークナイト ライジング』も好きなんです。ヴィランとして登場するベインほど恐ろしいキャラクターを見たことがない。それを見事に表現したトム・ハーディもすごいですし、ベインにより深く迫った映画が作られないかと思ったぐらいです。個人的にゴッサム・シティに生きる悪のキャラクターが好きなことも、マットというキャラクターを魅力的に感じた理由なのかもしれません」。
そう話しながら、マットのことを「応援したくなるヴィラン」だと形容するUTA。「ヒーローだけでなくヴィランのキャラクターにも厚みがあるのがDC作品の好きなところです。俳優という設定の新しさもあり、その内面ではどこにでもいる普通の人間である彼が、怪物になっていく段階がしっかりと描かれている。もし今後バットマンやスーパーマンと対戦することになるならば、マットが自分の意思で“悪”に徹する姿が見られるのではないかと期待しています」と、DCファンの目線で語った。
このインタビューの直前、マット役のトム・リス・ハリスとオンラインで対談したUTA。「トムはすごく明るくて話しやすくて、『ガス人間は煙になるし、クレイフェイスは粘土になる。あと火になれる人と水になれる人を集めて、4人で映画を作ろう』と言ってくれたんです」と楽しそうに振り返る。そして「彼は観客に“マットの感じている人間の感情”が伝わるように演じたとも言っていました。スリラーのなかでどのように、そのヒューマンドラマが描かれているのか。ぜひ映画館で確かめてみてください!」と、アンバサダーの立場から力強く呼びかけていた。
取材・文/久保田 和馬
