西部劇がベースで当初はマウイが主人公だった!?『モアナと伝説の海』をヒーロー映画の文脈で語ろう

コラム

西部劇がベースで当初はマウイが主人公だった!?『モアナと伝説の海』をヒーロー映画の文脈で語ろう

世界で10億ドルの興行収入を突破し、大ヒットを達成したディズニーの実写映画版『リロ&スティッチ』(25)。次なる実写企画は、ちょうど10年前に公開された『モアナと伝説の海』(16)である。

実写版『モアナと伝説の海』(公開中)で主人公モアナ役にキャスティングされたのは、サモアにルーツを持つ新星キャサリン・ランガイア。そして、彼女の相棒となるポリネシア神話の半神マウイを演じるのは、同じくサモア系のドウェイン・ジョンソンだ。彼はボイスキャストを務めたアニメーション版に続き、マウイ役を再演することとなった。

実写版の『モアナと伝説の海』
実写版の『モアナと伝説の海』[c] 2026 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ご存じの通り、ジョンソンはプロレス界のスターからハリウッドスターへと転身し、様々なジャンルでヒーロー役を演じる、現在最もギャラの高い俳優の一人である。トレードマークであるムキムキの肉体で、アニメ版よりもファンタジックなビジュアルを披露。まさにマウイというキャラクター自身が標榜しているように、よりヒーローとしての魅力を発揮しているところに圧倒させられざるを得ない。

ところで、そんな本作の基となったアニメーション版『モアナと伝説の海』が、実は「ヒーロー映画」になっていた可能性を知る人は、あまりいないかもしれない。本稿ではおもにアニメーション版第1作を振り返り、もともとのヒーロー映画の文脈として捉え直すことで、作品の新たな魅力を発見していく。

南の楽園で暮らし、海と特別な絆で結ばれている少女モアナ(『モアナと伝説の海』)
南の楽園で暮らし、海と特別な絆で結ばれている少女モアナ(『モアナと伝説の海』)[c]Everett Collection/AFLO

『ヘラクレス』や西部劇『勇気ある追跡』が物語のベースに

現在、ディズニー公式が「ディズニープリンセス」として認めているヒロインは、13人。白雪姫、シンデレラ、オーロラ姫、ジャスミン、ポカホンタス、ムーラン、ティアナなどなど。その一員であるモアナはポリネシア系のプリンセスとして、世界中の子どもたちの羨望の的となっている。なので一般的に『モアナと伝説の海』は、アドベンチャー作品であると同時に「プリンセス映画」として語られることが多い。

海と風を司る半神半人のマウイ(『モアナと伝説の海』)
海と風を司る半神半人のマウイ(『モアナと伝説の海』)[c]Everett Collection/AFLO

しかし、ディズニーアニメーションの重鎮であるロン・クレメンツ、ジョン・マスカー監督によると、当初はモアナではなく、半神マウイを主人公とする『ヘラクレス』(97)のような神話×ヒーローという枠組みの作品を構想していたそう。アニメーション版『モアナと伝説の海』公開時は、すでにディズニーがマーベル・エンターテインメントを買収し、ヒーロー映画ブームの最中だったことを考えると、そうした方向性は自然だったかもしれない。

神の息子ヘラクレスの活躍を描く『ヘラクレス』
神の息子ヘラクレスの活躍を描く『ヘラクレス』[c]Everett Collection/AFLO

さらにクレメンツ&マスカー監督は、ジョン・ウェイン主演の名作西部劇『勇気ある追跡』(69)、またはそのリメイク『トゥルー・グリット』(10)が念頭にあったとも言葉にしている。これらは、父親を殺した犯人への復讐を果たそうとする少女を助けるため、連邦保安官が用心棒になって共に旅をするという物語。先日公開された『スーパーガール』(26)の基本プロットにも引用されていると考えられる。

『勇気ある追跡』をジェフ・ブリッジス主演でリメイクした『トゥルー・グリット』
『勇気ある追跡』をジェフ・ブリッジス主演でリメイクした『トゥルー・グリット』[c]Everett Collection/AFLO


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