『スーパーガール』のやんちゃ犬クリプトも…フィルモグラフィからひも解くジェームズ・ガンの深い“動物愛”
ガンの愛犬から生まれたやんちゃなスーパードッグ、クリプト
監督作『スーパーマン』では、脚本執筆の開始後に引き取った愛犬オズがスーパーパワーを持っていたらどんなに大変だろうかと考え、これまでの『スーパーマン』の実写映画では描かれてこなかったスーパードッグのクリプトを登場させることにしたガン。性格だけでなく、見た目や遊び方などもオズを反映させ、キュートなキャラクターを作り上げている。
コミックで描かれてきた忠犬なクリプトとは異なり、その姿はやんちゃでやりたい放題。しかし、傷だらけのスーパーマン(デイヴィッド・コレンスウェット)を基地まで運んだり、宿敵レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)の武器を“おもちゃ”として噛み噛みしたり…主人の窮地に駆けつける人間の“一番の友”としての大活躍も見せる。
品行方正なスーパーマンの犬にしてはあまりにやんちゃだが、ラストで「犬は飼い主に似る」という言葉と共にスーパーガールの犬であることが明らかに。犬の特性を活かした『スーパーガール』への鮮やかな橋渡しという役割も担った。
『スーパーガール』で描かれるカーラとクリプトの絶対的な信頼関係
そして製作としてガンが名を連ねる『スーパーガール』でも、物語の心臓部としてクリプトは重要な役割を担っている。
急襲してきた謎の敵クレム(マティアス・スーナールツ)の毒にクリプトが侵され、カーラは3日間というタイムリミットのなか、解毒薬を求め、同じくクレムに家族を襲われた少女ルーシー(イヴ・リドリー)や宇宙最凶の賞金稼ぎロボ(ジェイソン・モモア)と共に銀河を股にかけた冒険を繰り広げることに。
故郷を失った壮絶な過去を持つカーラにとって、クリプトン星で過ごした日々とつながる唯一の拠りどころであるクリプト。母の葬儀での子犬クリプトとの出会いから、地球での寂しい時間、そして気ままに宇宙を放浪しながら酒に溺れる現在…とカーラの苦い記憶をたどる本作で、どの場面にもいるのがクリプトであり、描写の積み重ねによって強固な信頼関係を浮かび上がらせている。
クリプトのために怒りを露わにし、時には危険な罠に飛び込むカーラ。その存在は彼女の行動原理そのものとなっている。愛するクリプトを守るためならどんなつらい状況でも、どんな危険な相手でも立ち上がるという覚悟からは、“動物がもたらすもの”を感じることができるはずだ。
スクービー・ドゥーからクリプトまで、ジェームズ・ガンの作品に繰り返し登場する動物たちは、人間と動物の絆や弱者への共感が込められている。動物をありのままに描きながら、愛情を示してきたガンの深い動物愛を、これらの作品を通じてチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼
