『スーパーガール』のやんちゃ犬クリプトも…フィルモグラフィからひも解くジェームズ・ガンの深い“動物愛”
数々の話題作を手掛けてきたジェームズ・ガンが舵を取る新生DCユニバースの第2弾として、大きな注目を集める『スーパーガール』(公開中)。スーパーマンのいとこ“スーパーガール”ことカーラ・ゾー=エル(ミリー・オールコック)の活躍を描く本作でひときわ目を引くのが、スーパードッグのクリプトだ。
ガンがメガホンを握った2025年の『スーパーマン』でも大活躍を見せたクリプトは、今作でも重要な役割を担っている。これまで動物へあたたかなまなざしを向けてきたガンの“動物愛”について、フィルモグラフィを振り返っていきたい。
初期作『スクービー・ドゥー』でも見られる犬と人間の絆
ガンが初めてメジャー作品の脚本を手掛けたのが、2002年の『スクービー・ドゥー』。本作は、人間の言葉を話す大型犬スクービー・ドゥーとその飼い主シャギー(マシュー・リラード)ら4人の人間からなる探偵事務所「ミステリー社」が各地で起こる怪事件を解決する人気アニメを実写化している。
仲間割れによって解散したミステリー社の面々が巨大なテーマパーク島に集められ、島を訪れた若者がまるで別人のようになってしまうという怪奇現象を調査することになる――そんな物語の中心にいるのがスクービーだ。
人間たちがいがみ合いギクシャクするなか、純粋無垢な存在として癒しと笑いを与えてくれるスクービー。しかしただのマスコットではなく、自分の意思を持った存在として描かれ、シャギーとの喧嘩から窮地に陥る場面も。親友のシャギーをはじめとする仲間たちがスクービーのために団結して立ち上がるという“絆”が試される展開には、動物を単なるペットとして扱わないガンの視点が表れていた。
人間の本質を映しだすガン作品の多彩な動物たち
その後も脚本を手掛けた『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)では、リメイク元の『ゾンビ』(75)にはなかった犬の要素をプラス。家族を亡くした少女ニコール(リンディ・ブース)が出会った犬のチップスとの友情や彼を利用した作戦が招く混乱を描いた。
また、DC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)でも、ネズミを操るラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)というキャラクターを通じて、嫌われものでありながらも街の片隅で必死に生きる“弱者”であるネズミへのまなざしと、社会のはぐれ者たちへの共感を重ね合わせた。
本作から誕生したスピンオフドラマ「ピースメイカー」でも、エゴイストで粗野なピースメイカー(ジョン・シナ)が、相棒であるワシのイーグリーにだけは父親のような一面を覗かせる様子を通じて、キャラクターの心の底にある優しさを表現。従順でかわいらしい一方、持ち前の獰猛さで敵に襲いかかるなど、イーグリーも“動物らしさ”を失わない存在として描かれた。
ロケットが象徴する“傷ついた動物”への優しいまなざし
ガンが動物への愛情と同様に一貫して描き続けてきたのが「社会から排除されてきた者」というテーマ。そんな両テーマが最大限にリンクしているのが、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズだ。
個性豊かなキャラクターのなかでもガンが「ずっと物語の中心だった」と語るのが、ガーディアンズの頭脳役であるアライグマのロケット。「彼は本物の動物に近い。つまり純粋で小さな動物が歩き、話し、銃を撃ち、機械を作れるようになるというコンセプトなんだ」とコメントしているように、コミック版の漫画っぽいキャラクター像ではなく、あくまで改造された小動物として表現されている。ちなみにロケットを描くにあたり、1作目の製作時にはオレオというアライグマとずっと一緒に過ごし、観察したそうだ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(23)は、瀕死の危機に陥ったロケットを助けるため、仲間たちが改造動物を生みだしたハイ・エボリューショナリー(チュクーディ・イウジ)に立ち向かう…というストーリーになっており、現実に目を背けることなく、動物実験の残酷さとその先にある救済を真正面から描いている。
識別番号で扱われる動物たちにライラ、ティーフス、フロアという名前を与え、夢を語らせるなど感情を持つ存在への共感、動物がありのままでいることへの肯定、そして動物たちが幸せに過ごせる未来への希望を示し、動物保護団体PETAから「アニマルライツの傑作」と絶賛され、賞を贈られた。
