『バトル・ロワイアル』も「イカゲーム」もここから始まった?『ロングウォーク』が描くデスゲームの原型とは

コラム

『バトル・ロワイアル』も「イカゲーム」もここから始まった?『ロングウォーク』が描くデスゲームの原型とは

“最後の1人”を競う残酷なサバイバルシステム

ディストピアな世界観に加え、『ロングウォーク』の大きな特徴が、最後まで勝ち残った1人が総取りという残酷なシステム。競争が絶えない社会の風刺という意味でも定番の設定と言える。

中学生同士による殺し合いという刺激的な内容は公開当時大きな話題となった(『バトル・ロワイアル』)
中学生同士による殺し合いという刺激的な内容は公開当時大きな話題となった(『バトル・ロワイアル』)[c]Anchor Bay/courtesy Everett Collection

その代表格が「死のロングウォーク」から影響を受けた小説を深作欣二監督が映画化した『バトル・ロワイアル』だ。経済成長によって失業者が増え、頼りない大人に対し子どもたちが暴走するなか、教育改革法として「BR法」が制定される。この法律は、年に一度、全国の中学3年生のなかから選ばれた一つのクラスが、最後の1人になるまで殺し合いをさせられるという内容で…と、“中学生同士の殺し合い”を描き、大きな波紋を呼んだ。

銃から鍋の蓋まで当たり外れの大きなランダム支給の武器を手に、周囲を蹴落とし、生き残りを目指していく、まさに社会の縮図と言える争いが繰り広げられる。そのなかでは主人公をはじめ団結する者もおり、『ロングウォーク』よろしく、命を懸けた若者たちによる血生臭い青春模様が描かれている。

ユニークな死のゲームに特化した『ソウ』
ユニークな死のゲームに特化した『ソウ』[c] Lions Gate/courtesy Everett Collection

コンピュータで管理された無人島、3日間というタイムリミット、禁止エリアに入ると爆発する首輪など、『バトル・ロワイアル』では生き残りを左右する様々なルールや設定が盛り込まれ、ゲームとしてもより複雑に。こうしたゲーム性はその後さらに色濃くなり、ユニークかつ残虐な死のゲームそのものが見どころの「ソウ」シリーズなど、人気作が生まれてきた。

デスゲームを生みだす格差社会の構造

『ロングウォーク』のメガホンを握るフランシス・ローレンス監督が手掛けた「ハンガー・ゲーム」シリーズもまた、独立国家となった近未来のアメリカで、若者たちが最後の1人を目指した命懸けのゲームに挑んでいくデスゲーム映画の典型的作品。

デスゲームものでシリーズ化された『ハンガー・ゲーム』
デスゲームものでシリーズ化された『ハンガー・ゲーム』[c]Lionsgate/Courtesy Everett Collection

ゲームの背景には、政治の中心キャピトルに住む特権階級が反乱を抑止するため、農業、商業、工業、鉱業など周囲の12地区から集めた12〜18歳までの男女24名を殺し合わせるという目的があるように、今作で際立っているのが、階級社会が生みだす厳しい格差社会の構造だ。

リチャード・コネルの短編を映画化した元祖デスゲームものと言える『猟奇島』
リチャード・コネルの短編を映画化した元祖デスゲームものと言える『猟奇島』[c]Everett Collection/AFLO

最古のデスゲーム映画の一つ『猟奇島』(32)では“人間狩り”に興じるブルジョアの姿が描かれたように、格差社会はデスゲームものを決定づける大きな特徴。そのリメイク『恐怖の島』(45)、さらに再リメイク『太陽に向かって走れ』(56)、『デス・レース2000年』の続編『デススポーツ』(78)、そして近年の『ザ・ハント』(20)や貧乏人たちが富豪たちの遊びのコマとされた「イカゲーム」など、貧富の格差が生みだすグロテスクな人間の性が描かれてきた。

『ロングウォーク』は6月26日(金)より公開
『ロングウォーク』は6月26日(金)より公開[c]2026 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

ディストピア国家において若者たちの命をサバイバルゲームとして見世物にし、大衆がそれを消費する――。後続の作品が繰り返し描いてきた構図を、半世紀以上前に提示していた「死のロングウォーク」を映画化した『ロングウォーク』は、最新作にしてデスゲーム映画のある種の“原点”と言えるだけに、このジャンルが好きな人は、ぜひ劇場でチェックしてみてほしい。


文/サンクレイオ翼

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