『バトル・ロワイアル』も「イカゲーム」もここから始まった?『ロングウォーク』が描くデスゲームの原型とは
“最後の1人”を競う残酷なサバイバルシステム
ディストピアな世界観に加え、『ロングウォーク』の大きな特徴が、最後まで勝ち残った1人が総取りという残酷なシステム。競争が絶えない社会の風刺という意味でも定番の設定と言える。
その代表格が「死のロングウォーク」から影響を受けた小説を深作欣二監督が映画化した『バトル・ロワイアル』だ。経済成長によって失業者が増え、頼りない大人に対し子どもたちが暴走するなか、教育改革法として「BR法」が制定される。この法律は、年に一度、全国の中学3年生のなかから選ばれた一つのクラスが、最後の1人になるまで殺し合いをさせられるという内容で…と、“中学生同士の殺し合い”を描き、大きな波紋を呼んだ。
銃から鍋の蓋まで当たり外れの大きなランダム支給の武器を手に、周囲を蹴落とし、生き残りを目指していく、まさに社会の縮図と言える争いが繰り広げられる。そのなかでは主人公をはじめ団結する者もおり、『ロングウォーク』よろしく、命を懸けた若者たちによる血生臭い青春模様が描かれている。
コンピュータで管理された無人島、3日間というタイムリミット、禁止エリアに入ると爆発する首輪など、『バトル・ロワイアル』では生き残りを左右する様々なルールや設定が盛り込まれ、ゲームとしてもより複雑に。こうしたゲーム性はその後さらに色濃くなり、ユニークかつ残虐な死のゲームそのものが見どころの「ソウ」シリーズなど、人気作が生まれてきた。
デスゲームを生みだす格差社会の構造
『ロングウォーク』のメガホンを握るフランシス・ローレンス監督が手掛けた「ハンガー・ゲーム」シリーズもまた、独立国家となった近未来のアメリカで、若者たちが最後の1人を目指した命懸けのゲームに挑んでいくデスゲーム映画の典型的作品。
ゲームの背景には、政治の中心キャピトルに住む特権階級が反乱を抑止するため、農業、商業、工業、鉱業など周囲の12地区から集めた12〜18歳までの男女24名を殺し合わせるという目的があるように、今作で際立っているのが、階級社会が生みだす厳しい格差社会の構造だ。
最古のデスゲーム映画の一つ『猟奇島』(32)では“人間狩り”に興じるブルジョアの姿が描かれたように、格差社会はデスゲームものを決定づける大きな特徴。そのリメイク『恐怖の島』(45)、さらに再リメイク『太陽に向かって走れ』(56)、『デス・レース2000年』の続編『デススポーツ』(78)、そして近年の『ザ・ハント』(20)や貧乏人たちが富豪たちの遊びのコマとされた「イカゲーム」など、貧富の格差が生みだすグロテスクな人間の性が描かれてきた。
ディストピア国家において若者たちの命をサバイバルゲームとして見世物にし、大衆がそれを消費する――。後続の作品が繰り返し描いてきた構図を、半世紀以上前に提示していた「死のロングウォーク」を映画化した『ロングウォーク』は、最新作にしてデスゲーム映画のある種の“原点”と言えるだけに、このジャンルが好きな人は、ぜひ劇場でチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼
