“恐怖の帝王”も称賛するマイク・フラナガンという才気…キング原作映画『サンキュー、チャック』などで描く人間が“輝き”を放つ瞬間
“恐怖の帝王”と呼ばれるスティーヴン・キングのホラー小説は、『キャリー』(76)を皮切りに次々と映画化され、近年では『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)などのヒット作を生み出し、観客の背筋をゾクゾクさせてきた。その一方、『スタンド・バイ・ミー』(86)や『ショーシャンクの空に』(94)、『グリーンマイル』(99)といった非ホラー系映画も、不朽の名作として人気が高い。
極めつけの恐怖映画か、それとも感動作かで評価が大きく分かれているのが、キング原作の中編小説「チャックの数奇な人生」を映画化した『サンキュー、チャック』(公開中)だ。「アベンジャーズ」シリーズのロキ役でおなじみのトム・ヒドルストン主演作で、「スター・ウォーズ」シリーズでルーク・スカイウォーカー役を演じてきたマーク・ハミルが主人公の生涯に影響を与えるキーパーソンとして登場する。
監督、そして脚本も手掛けているのが、原作者キングが大いに信頼を寄せているマイク・フラナガン。人類が滅亡の危機に瀕するなかで、主人公たちが“生きる”ことの意味に気づくというメッセージ性の高いミステリードラマが生みだされた。
世界が滅亡に向かうなか、街に出現する謎の看板
映画は原作と同様に三部構成となっており、まず第三章から物語は始まる。高校教師のマーティー(キウェテル・イジョフォー)は世界に異変が起きたことに気づく。大地震に続き、インターネットはつながらなくなり、道路も陥没して交通不能となる。世界に滅亡の日が迫るなか、街の至るところに「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という謎の看板が現れる。チャックことチャールズ・クランツとはいったい何者なのか?
続く第二章では、そのチャック(ヒドルストン)が登場。スーツ姿の真面目そうな男だが、ストリートミュージシャンの演奏に合わせて華麗なダンスを披露する。さらに第一章は、チャックがダンス好きになった少年期へと遡る。同時に、なぜ世界は滅亡に向かっているのか、その理由も明らかになる。
キングはゲラ段階の原作小説をフラナガン監督に送っていたそうだ。このような揺るぎない信頼を寄せているのは、彼が少年期からのキング小説の熱心な愛読者であり、「ドクター・スリープ」を映画化したことが大きいと思われる。
