こんなおじいちゃん、おばあちゃんはイヤだ!『ヴィジット』に『WEAPONS/ウェポンズ』、『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』まで狂気の“お年寄りホラー”たち
エッジの効いた演出で話題を集めた近年の大ヒット“お年寄りホラー”
『X エックス』(22)に登場するハワードとパールは後期高齢者に属する老夫婦だが、こちらもナメると痛い目に遭う…どころか、命さえなくしてしまう。ポルノ映画の撮影隊が人里離れた農場にやって来るが、農場の持ち主がこのハワードとパールだった。前者は心臓を患い、後者はヨボヨボだが、彼らは隙を突いて撮影隊の面々を次々と殺害していく。その背景にある彼らの秘密は、映画を観て驚いてほしいので伏せるが、生臭いほどの恐怖に戦慄するに違いない。主人公のマキシーンとパールをミア・ゴスが一人二役で演じたことも話題に。老夫婦がなぜそうなったのかを描く前日談『Pearl パール』(22)、マキシーンの後日談の『MaXXXine マキシーン』(24)と併せて、ゾクゾクしてほしい。
最も最近の作品では、『WEAPONS/ウェポンズ』(25)がとどめを刺す。米ペンシルベニア州の田舎町で、ある日の“深夜2時17分”に、小学校の同じクラスの生徒17人が一斉に失踪するという怪事件が発生。担任教師や保護者が独自の調査に乗りだした結果、行き着いた怪しい老女の正体とは!?こちらもネタバレにつながるので詳細は省くが、『スペル』(09)や『ヘレディタリー/継承』(18)に通じる、凄まじいオカルトワールドに引き込まれるだろう。老女を怪演したエイミー・マディガンが第98回アカデミー賞助演女優賞を受賞したのも衝撃だった。
安心できるケアハウスが地獄と化す『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』
さて、注目の『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』。主人公は脳卒中に倒れて車椅子での生活を余儀なくされ、郊外のケアハウスに入居することになったプライドの高い老判事。老人たちが静かに暮らしていると思いきや、そこには身体の自由を失った老人をいたぶる恐ろしい入居者がいた!この老人は“ジェニー・ペン”と名付けたハンドパペットと会話しながら、入居者たちをいじめ、時には命を奪うことさえあるのだ。主人公は、この悪魔のような入居者を告発しようとするが、認知に問題が生じている老人の言うことを、介護人たちは信じようとしない。かくして、ケアハウスは戦場と化す…。
小学校ならいざ知らず、老人ホームにもいじめがあったとは、思いもよらぬ展開だが、支配する者とされる者の構図も『何がジェーンに起ったか?』的。さらに限定空間で展開されるサバイバルストーリーは、ブラックユーモアと相まって観る者の目を釘づけにする。いまや世界トップクラスの高齢化社会となった日本において、この物語が他人事であると言えるだろうか?『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』は現代を鋭く見据えた、まさに最新鋭の“お年寄りホラー”なのだ!
文/相馬学

