木戸大聖が『モブ子の恋』で見せる新味…口裂け女の弟子になる高校生、早世の詩人、ケンカの弱い不良(?)などを演じてきたユニークなキャリア
内気なヒロインの世界を広げていく青年を好演
そんな木戸は、最新作『モブ子の恋』でヒロインの田中信子(桜田)が思いを寄せる大学生の入江博基役で出演している。
本作は、自分のことを“モブ=脇役”だと思いながら生きてきた大学生の信子が、アルバイト先の同僚である入江に恋したことをきっかけに、自分自身と向き合っていくラブストーリー。人前で自分の気持ちを伝えることが苦手な信子が、恋を通じて少しずつ世界を広げていく姿が映しだされていく。ド派手なアクションやセンセーショナルな出来事はないが、誰かを好きになることで見える景色の変化を丁寧にすくい取った心に響く感動作となっている。
“受けの芝居”に喜びや戸惑いをにじませながら入江を造形
“もう一人の主人公”である入江は、相手の話に耳を傾け、周囲への気遣いを忘れない青年だ。自分の感情よりも相手を優先してしまう不器用な一面を持っているものの、その穏やかな優しさが、人見知りで控えめな信子の心を少しずつ動かしていく。
木戸はこの入江という役柄について、「これまであまり演じてこなかったキャラクター」とコメントしている。演じるにあたっては、相手の言葉を受け止める“受けの芝居”をしつつも、喜びや戸惑いを要所ににじませ、入江という人物を立体的に造形。さりげない表情や視線、言葉を発するまでのわずかな間から優しさや誠実さを感じさせ、等身大の青年としてスクリーンに息づかせている。なお、トレードマークの笑顔は本作でも健在。思わず心奪われる瞬間を堪能してほしい。
ホラーコメディからアニメーション、文芸作品、不良アクションまで様々なジャンルに挑戦してきた木戸。1996年生まれの彼は今年12月に30歳を迎えるが、その歩みはまだまだ始まったばかり。これからどんな人物像をスクリーンに刻んでいくのか。『モブ子の恋』と共に、俳優、木戸大聖の次なる一歩からますます目が離せなくなりそうだ。
文/足立美由紀
