賀来賢人が映画初プロデュース作『Never After Dark/ネバーアフターダーク』で穂志もえかと共に挑んだ新たな地平「ジャパニーズホラーに独自の視点を」
「穂志さんはテクニックじゃなく“心の芝居”をされる方」(賀来)
――霊と交信できる能力を使って全国の怪事件を解決してきた霊媒師のヒロイン、愛里役に、穂志さんをキャスティングされた決め手はなんだったのでしょう?
賀来「愛里は特殊なキャラクターですから、誰にお願いしようかかなり悩みました。そんなときに観た『SHOGUN 将軍』の穂志さんの姿に惹かれるものがあったので、出演作である今泉力哉監督の『街の上で』や『窓辺にて』を拝見して、テクニックじゃなく“心の芝居”をされる方という印象を持ったんです。その脆さが愛里にハマるんじゃないかと思い、デイヴと一緒に穂志さんと初めて会ったとき、その予感が確信に変わったので、すぐにふたりで『はい、決まり!』という結論になりました」
穂志「あれは2024年の4月ごろでしたが、当時はまだフリーランスの私のアドレスに『賀来賢人のマネージャーです』というメールが届いたので驚きました(笑)。そのときに熱い思いと具体的なビジョンが見える企画書もいただいたんですけど、なによりもうれしかったのは『「SHOGUN 将軍」のパフォーマンスに感激して、ぜひ穂志さんに出てほしいと思いました』と書かれていたことです。『SHOGUN 将軍』が配信されたのはその年の2月末で、アメリカでは話題になっていたものの、日本ではまだそんなに観られていなかったころだと思うんですよね。そんななかで、いち早く観てくださった賀来さんとデイヴさんに声をかけていただいたことが本当にうれしくて。『忍びの家 House of Ninjas』で出会ったおふたりが、新しいアプローチでエンタメ業界を切り拓いていくという印象も持ったので、お会いした時点で『この人たちと一緒にやりたい』って決めちゃってました(笑)。」
――穂志さんは撮影に入る前、デイヴ監督に「この物語で伝えたいことはなんですか?」とメールで聞かれたそうです。それに対する長文の返答や、参考資料として観るように言われたというニコラス・ローグ監督の『赤い影』(73)、ギレルモ・デル・トロ監督が製作総指揮を務めた『永遠のこどもたち』(07)は、お芝居の助けになりましたか?
穂志「なりました。なにかを丸ごと踏襲したということではないんですけど、演技をするときにそこから得た要素が自分の持っているものと混ざり合って自然と出てきたような印象があって。意識的に『ここはあの映画のあの感じでやってみよう』みたいなことはあまりなかったのですが、そういうことが起こるから、監督の思いを聞いたり、参考映画を観て世界観を共有することは大切なんだろうなと改めて思いました」
「『こういう世界がある』ということを純粋に信じてやりきる、子どものころの“ごっこ遊び”みたいな感覚で演じられた」(穂志)
――本作の最もオリジナリティに富んでいてユニークなところは、霊媒師の愛里が、ある事件で霊になった姉の美玖(稲垣来泉)とバディを組んで事件の真相に迫るところです。あの鏡や車の窓ガラスに映る美玖とのお芝居は難しくなかったですか?
穂志「そうですね。お姉ちゃんとのシーンはすべて目を合わせずに芝居をしていて。相手役の目を見ずにあんなに長くお芝居をしたことがなかったので、大変だったけれど新鮮でした(笑)」
――愛里がその日の霊媒師の仕事を終了し、お酒を飲みながら踊り出すシーンなどにも、日本映画にはあまりない西洋の監督ならではの優雅なセンスが感じられました。観ていていちばん楽しかったのは、ゾエトロープを使った一子相伝の儀式で肉体と魂を分離させ、霊界に足を踏み入れるシーンです。
賀来「あそこは、この映画のエンタメポイントのひとつ。編集でもいろいろなトライをしたんですけど、とてもワクワクするシーンになったと思っています」
穂志「撮影も楽しかったですね(笑)」
賀来「結構アナログな撮り方をしていたしね(笑)」
穂志「いい意味でお芝居をしている感覚もなく。『こういう世界があって』とか『こういう設定で』ということを純粋にみんなで信じてやりきる、子どものころの“ごっこ遊び”みたいな感覚で演じられたので楽しかったです」

