若狭和田ビーチの美しさにクールなのせりんと熱いリーダー、徳重聡の対比
物語の舞台となるのはアジアで初めて「ブルーフラッグ」を取得した、福井県嶺南地方の高浜町・若狭和田ビーチ。「ブルーフラッグ」とは安全で美しいビーチやマリーナに与えられる国際環境認証制度で、ちなみに今年は取得からちょうど10年にあたる。
⽴⽯を演じるのは徳重聡。徳重は「21世紀の石原裕次郎を探せ!」でグランプリを獲得し、芸能界デビューした石原軍団出身。「みんなの兄貴分」そのものであり、様々な背景を持つクラブのメンバーたちをまとめ上げる包容力はさすが。のせりんとは対照的で、温度差が果てしない。このジェネレーションギャップも見どころの一つ。同クラブのメンバー、加奈役には子役のころから積み重ねてきた着実な演技力で、今後の活躍が期待されている伊礼姫奈。ちなみに伊礼の実年齢はのせりんより3歳も下だが、クラブの先輩として、小さな体で勇輝を叱咤激励する姿がなんとも微笑ましい。作品には地元のエキストラと思われる人々も参加しており、クールなのせりんと熱いリーダー、徳重の中間を埋めるような温かな台詞回しに時折、癒される。
福井県高浜町の温かさがスクリーン越しに伝わる
地域住民の協力は甚大で、映画はシーズン真っ盛り、昨年の真夏に撮影された。エメラルドグリーンの海、広くて真っ白な砂浜、遠くに臨む山々と高浜町の夏らしい風景がカメラにそのまま映しだされ、観ているだけでリゾート気分。水中撮影が可能なアクションカメラで水面ギリギリの撮影もしており、夏の海ならではの迫力が伝わってくる。撮影は合宿スタイルで行われ、劇中で勇輝が暮らすクラブハウスとして使われたビーチ目前の民宿に泊まり込み、時に若狭和田ライフセービングクラブのメンバーたちと海に入りながら進行していったとか。
バーベキューシーンではブランドの若狭牛、牡蠣やアワビと、海と山に囲まれた地ならではの食材がずらりと並び、現地のグルメも旅情気分を高める。7年に一度だけ、行われる地元のお祭り「高浜七年祭」の実景もしっかり収められている。
『近畿地方のある場所について』では怪現象に蝕まれる青年を演じ、わずかな登場シーンながら強い印象を観客に植え付けたのせりん。そして映画初主演作『ライフセーバー!』では彼らしさが大いに発揮され、爽やかな青春群像劇となった。低温気質の男の子が壁にぶち当たりながら目覚めてゆく、暑苦しくない令和のスポ根ドラマ。果たして、勇輝はライフセーバーになる夢を叶えることができるのか?
この夏、美しいビーチを舞台に描かれる、爽やかな青春ドラマに注目だ。
文/高山亜紀

