現在公開中の『君のクイズ』をもう観ただろうか?まだ観ていない方は、いますぐ劇場に足を運んでほしい。これは、あなたの人生を変えるかもしれないエンタテインメントなのだから!…というと、大げさに聞こえるかもしれないが、深みのあるドラマであるのは間違いない。もちろん、これは“エンタテインメント”でもあり、ミステリアスにしてスリリングで、とにかく目を奪われる。しかし、それだけでは終わらない大きな魅力が本作には秘められているのだ。
人気クイズ番組で優勝したクイズ王は、なぜ問いを1文字も聞くことなく、最終問題を正解できたのか?2023年本屋大賞の候補となり、漫画化&舞台化もされた小川哲の同名小説を、『ハケンアニメ!』(22)で賞賛の声を集め、「沈黙の艦隊」シリーズを大ヒットに導いた吉野耕平監督が映画化。決勝で敗れた“クイズ界の絶対的王者”・三島玲央に中村倫也、疑惑の優勝者にして“世界を頭の中に保存した男”・本庄絆に神木隆之介、番組のためなら手段を選ばない“テレビ界が生んだ怪物”、番組総合演出の坂田泰彦にムロツヨシが扮し、前代未聞の謎に秘められた、人々の“人生の物語”をスタイリッシュな映像表現をもって描きだす。改めて、そんな本作の魅力をネタバレなしで検証してみよう。
手に汗握る緊張感、常人にはできない離れ業…早押しクイズの真髄を堪能!
まずはストーリーを簡単に解説。人気番組「Q-1グランプリ」もいよいよ大詰め。賞金1000万円が懸かった決勝で、クイズ界の絶対王者、三島と“世界を頭の中に保存した男”の異名をとる若き天才、本庄が早押しクイズで激突する。そして最終問題、本庄は問題を1文字も聞かずにボタンを押して正解を導きだし、栄冠に輝いた。神業で片付けるにはありえなさすぎる展開に、世間は騒然となる。本庄は超能力者か!?それともヤラセ!?様々な憶測が飛び交ってバズりまくるなか、本庄は公の場から姿を消した。この反響を受けて、番組の総合演出でやり手の坂田は決勝戦の検証番組を企画。敗れてしまったあげく、本庄とグルだったのでは?という汚名も着せられてしまった三島が、このとてつもない謎に挑むことになる…。
早押しクイズという“競技”において、出題文を読みあげている“途中で”答を言い当ててしまう離れ業を見たことがある人も多いだろうし、映画ではそのような状況も描かれている。さらには出題文を読みあげようとしている最初の口の形で、その先を読むという高等技術も紹介されるなど、クイズの世界はかくも奥が深く、またスリリング。まさにバトルと呼ぶにふさわしい緊張感がエンタテインメントとして機能する。しかし本庄のように、出題文を読み上げる“前に”正解を導きだすことが実際に可能なのだろうか?これはもちろん本作最大のミステリーであり、観客の興味を引き付けるエッセンスでもある。観る者は、その真相を追求する三島の視点で、物語にグイグイと引き込まれていくのだ。
