野性爆弾くっきー!が震えた『名無し』は“邪悪な見本の映画=邪見画”!? 「おもしろかったはずの佐藤二朗さんの顔のパーツがすべて怖く見える」
「僕は自分自身が“表現”だから、表現ができなくなるなんてことはない」
意外だったのは、くっきー!が幼少期のころは「特に夢見ることもなく、なにかになりたいというビジョンもなくて。虫を獲ったり、秘密基地を作ったり、石を集めたりしながら、日々を楽しく過ごしていた」と、いたって普通の田舎の少年で、中学生の時にバンドブームだったから理由でバンドを始めたという。そこから音楽にのめりこみ、「音楽はいまでも楽しいですね。気づいたら、ソファでギターを爪弾いてますから。茶色い酒を飲みながらね。それがいちばんカッコいいですよ(笑)」とくっきー!は笑顔を見せる。
それでは、お笑いや音楽などの“表現”ができなくなったらどうするのだろうか? そう問うと「できなくなるなんてことはないんじゃないですか?」ときっぱり。「俳優さんはいろいろな人にならなければいけないし、その役のオファーがなければ表現できないけれど、僕の場合は自分自身が“表現”だから。やろうと思ったら土手でも河原でもできるし、商工会議所に人を集めてやってもいい。そういった意味では、俳優さんより楽に表現できる人間かもしれんね(笑)」と言い切る。
そんなくっきー!に最後に改めて、本作を生み出した表現者としての佐藤二朗の魅力を語ってもらった。
「こことここのエピソードはこう繋がるんや~とか、この人はあの人やったんや~ということがあとから分かるミステリーのようなおもしろさもあるし、『こうなったらあかんよ』っていう見本…邪悪な見本の映画…『“邪見画(じゃみが)”』として観てもらってもいい。でも、やっぱり佐藤二朗さんがスゴいっすよ。美川憲一さんのような背筋がピンと伸びた人が“名無し”を演じて道行く人をド突いても迫力があるだろうし、神田うのさんのような可愛らしい人が殺戮を始めても怖いかもしれない。でも、佐藤二朗さんがやっぱりいちばんしっくりきますよね。少し前まではバイプレイヤーだったのに、いまは主演をバンバン張ってはるからヤベ~っすよ(笑)。次はいったいなにをやるんだろう? 不器用そうに見えてめちゃめちゃ器用だから、佐藤さんは本当にスゴいです」。
取材・文/イソガイマサト

