「今年1本観るとしたらこれ」『サンキュー、チャック』宣伝アンバサダーの斎藤工が熱い想いを語るインタビュー映像

「今年1本観るとしたらこれ」『サンキュー、チャック』宣伝アンバサダーの斎藤工が熱い想いを語るインタビュー映像

<アンバサダーコメント>

●斎藤工(宣伝アンバサダー)

Q.なぜアンバサダーを引き受けたのか?

「僕は天邪鬼な人間なので、映画ファンとしても少し『アンバサダー』というシステムに違和感を感じることがあるんですね。それは、本当に心が動いて、その映画になにかを感じた方が務めるべきだなと思っていて、最初にお話を伺った時点では、自分も映画人として関わる作品の公開日が遠くなかったりするので、お断りする方が『サンキュー、チャック』にとってもいいんじゃないかと思っていたんです。でも、時折、いろんな状況や環境、考えを凌駕する作品に出会えるのが映画だと思っていて、その大いなる一つであったということで、観終わった後に『これは絶対になにか意味がある、縁がある』と確信し、むしろこちらから志願させていただいたという流れです」

Q.映画をご覧になった感想を。

「宇宙について、小さい頃から壮大すぎて怖いものとして自分のなかで捉えている部分もあったのですが、この映画を観終わった後に『自分自身の人生も、一人一人の人生も一つの宇宙だ』ということを教えてもらいました。映画を観てご教授いただいたというよりは、自分のなかで感覚的に『こうなんじゃないか』と思っていたことが、答え合わせのようにこの映画によって正解に導かれた気がします。映画体験で、こんなに深いところまで感覚的にタッチされたというか、心の深い部分に触れられたのは初めてでした」

Q.原作者のスティーヴン・キングについて。

「今回の『サンキュー、チャック』は、スティーヴン・キング自身が年齢を重ねて、ご自身の有限な未来というところを高い解像度で落とし込んでいる気がしました。そして、なにより、深くて広いものは人一人のなかにあるということではないかと思います。1章で担任の先生が言う『この手の間にあるものは…』ということの答えみたいなものが、スティーヴン・キングが作家としてもこの映画に全て自分の経験といま現在思うことを落とし込んでくれたのではないか思います、電光掲示板に出てくる一見会計士のチャックが白いノートになにか書こうとしている男に見えて、生みの苦しみも喜びもそこに表現されているようで、これはスティーヴン・キング自身なんじゃないかなと。自分の人生という物語をこの年齢で作品にしようと思われたんじゃないかと勝手に推測しています」

Q.トム・ヒドルストンのダンスシーンについて。

「すばらしかったです。彼が世界でトップの表現者だとは分かっていましたけど、セリフじゃない表現なんですよね。序盤は特に。全体を通して表情だったり、ダンス、身体表現というもののトム・ヒドルストンさんのさらなるフェーズを見せてもらいました。彼のたたずまいや動きだけで、彼が出ていないシーンでも彼の息吹みたいなもの、心拍数みたいなもの、75のリズムがずっとある。あのダンスシーンが心臓の鼓動のバイオリズムというか、この物語全体の心臓、一人の男性の鼓動なんだという、生きている時の『生の喜び』が詰まったシーンでした。また、よく見るとダンスの誘い方なども、かつて自分が受けた誘われ方と同じだったりと、細かな演出、そして原作では想像でしか補えない部分を、おそらくスティーヴン・キングの理想形なんじゃないかという形で描かれている、マイク・フラナガン監督の原作への愛とリスペクトを深く感じました」

Q.作品全体の構成について。

「結末から見せていくということでもないんですよね。でも、この謎解き感、答え合わせ感には、3章から始まる以外にないなと3回観て思いました。考え抜かれた構成だなと思いましたし、全部の章の頭で一回引き離されるんですよね。夢中にのめり込んでいた世界が急に分断されて、章が戻っていくという不思議な感覚になるんですけど、そこにこそ意味がある。登場人物になりきった最大の瞬間にそこでいきなりぶった切られる。でもそのブツ切りに見えるものが1章に繋がってくるという、この分断がなかったらないカタルシスになっていて、その見事さ、建て付けの妙にエンドロールで拍手したくなりました」

Q.邦題『サンキュー、チャック』について。

「これも伏線だとわかってほしいです。タイトルの伏線回収も早々にできるけど、ダジャレで言っているというのをむしろ強く出して行ってほしいですね。どうしてもこの映画はスティーヴン・キングが原作、マイク・フラナガンが監督でどう言う映画なんだろうとなんとなく想像しないと映画館に人が行かない時代になってきている気がするんです。でもこれはある意味全ジャンルに該当する凄まじい映画だと思いました。だからこそポスタービジュアルや僕がアンバサダーをしていることなど『なんだろう?』というクエスチョンがたくさん生まれると思うけど、その答え合わせが劇場でしかできないということが、ある意味強さではあると思う。このタイトルはそのクエスチョンを意図的に打ち出しているのではないか、考え抜かれたタイトルなんじゃないかなと2周観た後では思いました」


文/山崎伸子

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