綾瀬はるか、「ラブレターのように残る作品に」涙の客席に届けた願い『人はなぜラブレターを書くのか』初日舞台挨拶

綾瀬はるか、「ラブレターのように残る作品に」涙の客席に届けた願い『人はなぜラブレターを書くのか』初日舞台挨拶

映画『人はなぜラブレターを書くのか』の初日舞台挨拶が4月17日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、綾瀬はるか、當真あみ、細田佳央太、菅田将暉、妻夫木聡、佐藤浩市、石井裕也監督が出席した。

『人はなぜラブレターを書くのか』の初日舞台挨拶が行われた
『人はなぜラブレターを書くのか』の初日舞台挨拶が行われた

2000年3月8日に発生した地下鉄脱線事故により亡くなった、当時高校生だった富久信介さん。時を経た2020年、信介さんと同じ時間、同じ車両で通学し、彼に密かな想いを寄せていたという女性から1通のラブレターが信介さんのご家族の元に届いたという実話に惹かれ、石井監督がメガホンを取って映画化した本作。手紙を書きはじめる主人公のナズナ役を、綾瀬が演じた。

綾瀬はるか「みんなで作ったものがちゃんと届いている」と感無量の面持ち
綾瀬はるか「みんなで作ったものがちゃんと届いている」と感無量の面持ち

涙を拭う人も見受けられるなど、上映後の会場は映画の余韻と感動にあふれていた。会場を見渡した綾瀬は、「(観客の)涙目のような、涙のあとの感じを受け、みんなで作ったものがちゃんと届いているのかなと、うれしい気持ちになりました」としみじみ。「全キャスト、皆さん。とんでもなくすばらしかった」とキャスト陣を称えた石井監督は、「自分でつくった映画なのに、完成した作品を観たら名前の付けられない感情が押し寄せてきて。魂が慰められるような感覚になった。これは、俳優さんたちのすばらしい仕事のおかげ。キャスト、スタッフ、関係者の皆さんのおかげだと思って感謝していますし、誇らしい気持ちです」と晴れやかな表情を浮かべた。

試写会で本作を観た人からは、2000通を超える熱い感想が届いたという。この日は、キャスト陣がその感想を読み上げながらトークを繰り広げた。劇中では、信介さんの生きた証がたくさんの人の心を動かしていくが、そのトークからも、あらゆる人のなかに信介さんが生き続けていることが明らかになった。

ナズナの夫・良一を演じた妻夫木聡
ナズナの夫・良一を演じた妻夫木聡

綾瀬は「こちらが読んでいてもジーンとしてしまう、心が温かくなるメッセージがたくさん寄せられていて。こちらまで感動しました。たくさんのメッセージをありがとうございます」と感謝しきり。ナズナの夫・良一役を演じた妻夫木は、「この瞬間にも、人生が終わるかもしれない。後悔のない人生を送るためにも、一緒に観た娘と、この映画をきっかけにたくさん話をしたいと思います」という感想を読み上げ、「今日があるということは、当たり前じゃない。小さな幸せって、意外と転がっていると思うんです。それになかなか気付けない時もある。少しアンテナを張れば、いっぱい幸せを拾えると思う。そういう人間でありたい」と本作を通しての気づきを口にした。

高校生のナズナが想いを寄せた男子高生・富久信介を演じた細田佳央太
高校生のナズナが想いを寄せた男子高生・富久信介を演じた細田佳央太

事故で亡くなった高校生の富久信介さんを同名の役として演じた細田は、「人としても役者としても、本作で過ごした時間がこれからの自分の価値観や、ブレない軸のようになったんじゃないかと思う。今回の作品で感じたこと、考えたこと、やったことが基準となる。生きるということに対して、まっすぐに向き合いながら生きていかなければ失礼にあたると思っています」とターニングポイントになる作品だと力を込めた。

信介のボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じた菅田将暉
信介のボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じた菅田将暉

信介のボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じたのが、菅田だ。細田と菅田は一緒にボクシング練習に励み、劇中の関係性を作り上げるうえでその時間がとても大きなものになったとのこと。

菅田は「一緒に練習をして、汗をかいて。雑談でもできたらいいかなと思って、昼過ぎに練習が終わった日に『このあと、予定とかあったりする?全然、忙しかったら言ってね』と聞いて」と細田をご飯に誘った日を振り返り、「すると『お母さんとご飯に行くので』と。その日はご飯に行かなかったです」とぶっちゃけて会場も大笑い。タジタジとなった細田は、「それをずっと引きずっている。すみません」と苦笑い。菅田は「そんなこともいじりつつ、仲良くなりました」と楽しそうに話した。またナズナの学生時代を演じた當真は、「まっすぐさ、誠実さが表れたボクシングシーンだった」と2人が魂を込めて作り上げたボクシングシーンに惚れ惚れとしていた。

ナズナの学生時代を演じた當真あみ
ナズナの学生時代を演じた當真あみ

菅田が演じた川嶋選手も、実在の人物。劇中では川嶋選手がWBC世界チャンピオンとなった、徳山昌守選手との激闘も描き出されている。川嶋選手は、富久さんのイニシャルをトランクスに刻んで世界戦に挑んだというエピソードがある。菅田は「徳山選手を演じた方は、本当にプロライセンスを持っていて、プロで試合もしている役者さん。たまたまなんですが、徳山選手に憧れてボクシングを始めて、徳山選手のスタイルを真似して、研究してきた人なんです。現場ではリードしていただき、それについていった」と裏話を披露した。

信介の父親・隆治役の佐藤浩市
信介の父親・隆治役の佐藤浩市

信介の父親・隆治役を演じた佐藤は、実はおととい発熱をしたと告白。「38.3度まで上がりまして。舞台挨拶もあるので、昨日、病院に行って調べてもらった。そうしたらよく行く病院の先生が、実は富久くんと仲がよかったそうなんです」と語り、これには会場からも驚きの声が上がった。佐藤は「塾が一緒でみんな、仲間だったそうです。彼がボクシングに熱中していることも、知っていた。『佐藤さんがこの映画をやることは知っていたけれど、そのことを言うのはなと思って、黙っていたんです。まさか公開前日にいらっしゃるとは思っていなかったので、これもご縁だと思ってお話しさせていただきました』と。僕自身も、本当に縁だなと思って。そういう縁というものは、生きているといくつも転がっている。皆さんもそれを思って、1日1日を生きていただきたい」と実感を込めていた。

息の合ったやり取りに、会場も大盛り上がり!
息の合ったやり取りに、会場も大盛り上がり!

それぞれが真摯な胸の内を語った、舞台挨拶。最後には綾瀬が「誰かのことを思う気持ち、言葉にはできない想いを、どんなふうに残していくのかをとても丁寧に描いた作品です。誰かにやさしくできたり、誰かに言えなかったことを伝えたり。そんなふうに広がっていってくれたらいいなと思います。皆さんにとって、ラブレターのように残るものになってくれたらうれしい」と願い、温かな拍手を浴びていた。


取材・文/成田おり枝

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