映画『これって生きてる?』がもっとおもしろくなる!東京唯一のコメディクラブ主催・BJ Foxが語るスタンダップコメディの魅力

映画『これって生きてる?』がもっとおもしろくなる!東京唯一のコメディクラブ主催・BJ Foxが語るスタンダップコメディの魅力

サーチライト・ピクチャーズ最新作『これって生きてる?』(4月17日公開)の特別試写会「サーチライトプレミア試写会-シネマラウンジ-vol.5」がオズワルドシアターにて開催された。東京唯一のコメディクラブ「Tokyo Comedy Bar」のオーナーであり、自身もコメディアン、俳優、ポットキャスターとして活動しているBJ Foxと、本作の宣伝プロデューサーである平山義成と共にトークイベントを行った。

スタンダップコメディについて解説
スタンダップコメディについて解説

本作は、『アリー/ スター誕生』(18)、『マエストロ:その音楽と愛と』(23)に続く、ブラッドリー・クーパーによる長編監督第3作。友人の実話をテーマに、ニューヨークに生きる夫婦の日常をリアルに描き出している。二人の子どもにも恵まれ、順調な人生を歩んでいるように見えた夫婦、アレックス(ウィル・アーネット)とテス(ローラ・ダーン)。しかし中年に差しかかり、それぞれが置き去りにしてきた夢が、二人の関係に影を落としていく。やがて結婚生活は終わりへと向かい、失意の中にいたアレックスは、ニューヨークの街でふと立ち寄ったコメディクラブで偶然ステージに立つことに。夫婦の赤裸々な関係を“笑い”へと昇華させながら、新たな生きがいを見出していくアレックス。その先に待っていたのは、思いもよらない人生の転機だった。

ニューヨークに生きる夫婦の日常をリアルに描き出したヒューマンドラマ
ニューヨークに生きる夫婦の日常をリアルに描き出したヒューマンドラマ[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

コメディアンとしても活躍中のBJ Foxは「東京唯一のコメディクラブを4年前立ち上げました。一応イギリス人です(笑)」と挨拶し、「スタンダップコメディを毎日のように東京でやらせていただいています」と自身の活動に触れる。日本在住は11年に及ぶという。日本ではあまり馴染みのないスタンダップコメディだが、その定義についてBJ Foxは「正直、なんでもあり!」とニッコリ。「最近、特に日本ではスタンダップコメディ=政治ネタ、過激なネタ、下ネタ、人種いじるようなネタがメインと思われているけれど、全然そうではない」と説明し、「スタンダップコメディに挑戦したい日本人が、特に若者が多いのですが、スタンダップコメディだからなんか総理大臣をバカにしないといけない、みたいに思い込んでる人が多いのですが、この映画を観たらわかるように、そういう観点でまったくなくて。ただ自分の話をするもの」だと解説。

BJ Fox自身、スタンダップコメディでは「全然、政治風刺はしない。基本的に子どもや私生活のネタなどがメイン」だと明かす。「僕からすると、誰でもできる、一番ハードルが低いお笑い。オープンマイクがあるからこそ、離婚危機に陥ってるような挫折を感じてる主人公みないな人もいるし、僕みたいに普通にちょっとだけ自分らしいことを出したいという人もいます。そういうミックス、いろんな声があるからこそおもしろいと私が思っています」とスタンダップコメディの魅力を語った。

スタンダップコメディの世界に偶然飛び込んだアレックスは、胸の思いを“笑い”にかえていく
スタンダップコメディの世界に偶然飛び込んだアレックスは、胸の思いを“笑い”にかえていく[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

さらに「スタンダップコメディの入り口は、基本的にみんなオープンマイク」と話したBJ Foxは「日本の笑いはまずは養成所に入って、事務所に入ってという形だけど、僕の場合はオープンマイクからスタート。当時の彼女の友達のオープンマイクを応援しに行った時、とんでもないくらいくだらなくて。怒りを覚えるくらいくだらないと感じたイベントだったのですが、自分でも挑戦したいと思いました。ちなみに自分もとんでもないくらいスベりました!」と自身がスタンダップコメディを始めたきっかけを明かした。

「映画では少しだけフィクションがある」と話したBJ Foxは「舞台になってるコメディ・セラーはニューヨークにあるすごく有名なコメディの殿堂みたいな場所で、実際にはオープンマイクはやっていません」と解説。「非常に有名で、もう本当に聖地みたいな感じです。初心者がすぐに出られるものじゃなくて、みんなが目標としている場所でもあります」とも付け加えていた。

失意のアレックスが、一夜をやり過ごすために偶然コメディクラブに立ち寄る
失意のアレックスが、一夜をやり過ごすために偶然コメディクラブに立ち寄る[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

BJ Foxが本業を持っているところは、映画の主人公のモデルであり、ブラッドリー・クーパーが本作の着想を得た実在のコメディアン、ジョン・ビショップとの共通点なのだそう。「親近感を覚えました」と話したBJ Foxは、「僕の場合は、アレックスのように離婚まではいっていませんが(笑)。ちょっと共感しすぎて…。同じように仕事ばかりしていて、若い時に持っていた夢をちょっとだけ忘れつつあった時にコメディとの出会いがありました」と振り返る。続けて「中年の危機ほどではないけれど、Tokyo Comedy Barをオープンしたのは40歳の時。いまやらないでいつやるか、と考えさせられているような時期でした」と詳しく語った。

笑い溢れるイベントに
笑い溢れるイベントに

イベントでは、観客の感想や質問を訊くコーナーも。原題の「Is This Thing On?」の意味を問い、「映画のどこかに出てきましたか?」との質問が飛び出した。「このフレーズはスタンダップコメディの定番フレーズ。『Is This Thing On?』と聞けば、スタンダップコメディのスベリ芸だとわかります!」と話したBJ Fox。「笑いが取れない時に、『マイクが入っていないんじゃない?』みたいに、マイクや機材のせいにすることはよくあるんです」と回答した。さらに「この和訳はめちゃくちゃいい!」と力を込めると、「直訳でもあるし、映画の裏の意味もうまく表現できていると思います」と絶賛。

邦題を決める段階では「脚本しかなかった」と明かした平山が、「脚本すらない段階でタイトルを考えなければいけなかった。それでは話にならないと送ってもらったものの、掴みづらい作品で…」と苦戦したと告白し、「『Is this thing on?』というセリフは、劇中にはあるようでないんです。でも、この2人の夫婦関係がまだ”生きてる?”ということとも、ダブルミーニングになっています」とコメント。するとBJ Foxが「このタイトルはトリプルミーニングとも言えそう。自分のやりたいことを忘れてしまっている人に対して、本当にこの生き方でいいのか?夢は生きてる?という意味も入っているかなと思いました。この邦題はすばらしいと思います!」と話すと、「そういっていただけるとうれしいです!」と平山は安堵していた。

【写真を見る】実生活でも親友であるブラッドリー・クーパーとウィル・アーネットが、劇中でも息の合った友情を披露
【写真を見る】実生活でも親友であるブラッドリー・クーパーとウィル・アーネットが、劇中でも息の合った友情を披露[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

また、本作のテーマ曲とも言える、クイーン&デヴィッド・ボウイの大ヒット曲「アンダー・プレッシャー」の選曲についても会場から質問が。「歌詞の内容はやっぱりこの映画とすごくフィットする、シンクロします」と話したBJ Foxは「プレッシャーのなかで生きているカップルがどういうふうにして希望を見つけていくかっていう。この曲で良かったなっていう気がしています」と笑顔を見せていた。

また、「あるシーンでアレックスがリバプールのサッカージャージを着てた。あれは、イギリス・リバプール出身であるジョン・ビショップへのオマージュです!」とニコニコ顔のBJ Fox。「イギリス人としてすごくうれしかった。まあ、なぜアメリカ人が着用してるのかは分からないですが…」と苦笑交じりに笑いを取ると、最後の挨拶で「スタンダップコメディをプッシュしている人間として、この映画の存在はすごくうれしいです。より多くの人にスタンダップコメディことを知ってほしい。もし、この会場のなかに自分が言いたいことがある人がいたら、アレックスのように『Tokyo Comedy Bar』に来てください。離婚しても中年危機に陥ったとしても、自分がやりたいことがあれば、ぜひ自分らしく生きていただきたいと思います!」と呼びかけ、トークイベントを締めくくった。


取材・文/タナカシノブ

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