『映画「教場 Requiem」』木村拓哉が語る、集大成を終えたいまの思い「現場で一緒にセッションしている人たちがすべての答え」

『映画「教場 Requiem」』木村拓哉が語る、集大成を終えたいまの思い「現場で一緒にセッションしている人たちがすべての答え」

その内部が決して公開されることのない警察学校の実態をリアルに描いた長岡弘樹の同名小説を木村拓哉主演で実写化し、話題を集めた人気ドラマシリーズの最終章を2部作で描く劇場版の後編となる『映画「教場 Requiem」』(2月20日公開)。すでにNetflixで配信中の前編にあたる『映画「教場 Reunion」』と本作で木村は鬼教官の風間公親を再び体現したが、その胸に去来したものとはいったい何だったのか?集大成を撮り終えたいまの思いと、自身における“教官”のような存在からの大切な言葉を、静かに、噛み締めるように語った。

「現場で一緒にセッションしている、一緒に作品を構築している人たちがすべての答え」

適正のない者をふるい落とす風間の“教場”に、未来の警察官を夢みる第205期生の生徒たちが今年も入学してきた。その日から、さまざまな悩みと秘密を抱える生徒たちと、どんな嘘も見抜き、冷徹に対処する風間との真剣勝負が始まる。一方、かつての教え子たちが風間の身に危険が迫っていることを察知して再結集(Reunion)。見えない敵の凶行を阻止すべく動き始める。

「教場」シリーズの集大成となる『映画「教場 Requiem」』で風間公親を演じきった木村拓哉
「教場」シリーズの集大成となる『映画「教場 Requiem」』で風間公親を演じきった木村拓哉[c]フジテレビジョン [c]長岡弘樹/小学館

そんなグランド・フィナーレならではの怒涛の展開を見せる本作だが、ドラマの第1作からすでに6年。連続ドラマを含めた4つのエピソードで多くの視聴者の心を鷲づかみにしてきた人気シリーズなので、そこに情熱を注ぎ込んで来た木村に改めて「教場」という作品を作るおもしろさを問うと「“異質(なところ)”ですね」という思いがけない言葉が返ってきた。

「いまのご時世と逆行しているような内容ですし、激辛好きな人たちが好む“そんな辛いものをよく最後まで食べきれるね?”っていうものを作る感覚に近いような気がします(笑)」。

異質?激辛?木村らしいワードのチョイスだが、「でも、その辛さを作るのは現場だし、共演者の方がいて初めて辛さの分量が決まるので、最終的には彼らとのセッションが大事になってきますよね」と冷静に振り返る。確かに2020年のドラマ第1作「教場」では第198期生の生徒に扮した大島優子、川口春奈、三浦翔平らが張り詰めた空気のなかでスリリングなドラマを紡いでいたし、2021年のドラマ「教場Ⅱ」で第200期生の生徒だった濱田岳や福原遥、目黒蓮も、2023年の連続ドラマ「風間公親-教場0-」の赤楚衛二、白石麻衣、染谷将太も独自の個性でシリーズの世界を作る強烈なスパイスになっていた。

第205期の生徒役には綱啓永ら豪華若手キャストが集結
第205期の生徒役には綱啓永ら豪華若手キャストが集結[c]フジテレビジョン [c]長岡弘樹/小学館

ならば、最終シリーズを担う第205期生を演じた俳優たち(綱啓永、齊藤京子、金子大地、倉悠貴、井桁弘恵ら)と、過去作で生徒を体現した俳優たちとの役や芝居との向き合い方にはどんな違いがあったのだろう?

「う~ん、第1作目からずっと風間公親を演じさせてもらっている事実があるので、自分も監督や現場のスタッフもそこに甘えたくなる瞬間が確かにあるんです。その、過去の俳優さんたちと比べて物事を判断する“甘え”という尺度に気づいたのは今回ですね。この現場で一緒にセッションしている、一緒に作品を構築している人たちがすべての答えのはずなのに、『前の奴らはもっと練習してたぞ!』ってつい言いたくなるときがあるんですよ。でもそれは、こっちの甘え。そのことに気づいたのは今回かな」。

確かに年齢を重ねた人間ほど、年下の人たちのことを「◯◯世代」と一括りにしがちだが、木村は「『〇〇世代』じゃなく、彼らはひとりひとりの表現者。その集合体でそれぞれの時代の風間の生徒たちを作り上げているんです」と強調する。そのうえで「けれど、舞台は架空の警察学校だし、フィクションで現実離れした空間を構築しなきゃいけない現場の状況は以前よりも難しくなった」と打ち明ける。

【写真を見る】木村演じる警察学校の冷酷無比な鬼教官、風間公親が新たな生徒たちと対峙する
【写真を見る】木村演じる警察学校の冷酷無比な鬼教官、風間公親が新たな生徒たちと対峙する撮影/JANG HOMIN

「何て言ったらいいんだろう?“試み”と“実質”が真逆というか。これまでは作品の世界と現実を直角ぐらいの感覚で行き来できていたのが、今回の2部作ではそれが180度ぐらい両極にある感じで。『本番!』って言われて、現実から劇中の風間と生徒たちとの関係性に持っていくまでの角度がそれぐらい開いたなっていう感覚がありましたね。個々の俳優との距離は変わってないと思うし、自分が担っている役割も全然普遍的なものなんです。でも、ナビゲートの仕方が変わったというか。例えば“この標識のときは止まらなければいけない”ということを生徒たちに伝えるときに、いまは『止まれ!』じゃなくて『止まってください!』って言わなきゃダメでしょ。そういう常識が現場でも存在しているんです」。

自身が最初に語った“異質”の真相をそう吐露し、木村は「『教場』シリーズが描くものとはもう、真逆ですよ!」と複雑な笑みを浮かべる。「スタッフと現場でもよく『(ここで描いていることは実社会では)全部アウトだよね!』という話をしていて。それを無理やりねじ伏せているのが今作の厳しいルールなんですよ(笑)」。


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