映画ライターの2026年“推し韓国アクター”は誰?イ・ビョンホン、ホン・ギョン、パク・ジヒョン、アン・ヒョソプらに注目
2025年の韓国映画・ドラマ界は、世界的ヒットの勢いを保ったまま、ベテランから新星まで“俳優力”で作品を牽引するスターが次々と存在感を放った1年だった。トップの座にいながら完成形を拒み続ける名優、年齢を超えて激しいアクションに挑戦する女優、彗星のように現れた新人、配信ドラマを起点にグローバルへ羽ばたく次世代スターまで。本企画では、韓国映画・ドラマに造詣が深いライターがそれぞれの視点で“推し俳優”を熱く推薦。2026年にさらなる飛躍が期待される顔ぶれを、一緒に先取りチェックしていこう!
2026年も結局この人!“イ・ビョンホン劇場”は止まらない
2025年、間違いなく主演として精彩を放った俳優はイ・ビョンホン。今年日本公開も決まったパク・チャヌク監督との再タッグ作『しあわせな選択』(3月6日公開)は、製紙工場を解雇され孤軍奮闘する中年男性の卑屈さを完璧に体現し、“イ・ビョンホン劇場”と呼びたい仕上がりだった。Netflix映画『スンブ: 二人の棋士』で演じたのは、愛弟子に敗北してしまう伝説の囲碁棋士。実在の人物がいるキャラであることを忘れさせるほど、一挙手一投足をイ・ビョンホンのものにし魅力的な人物として鮮烈に表現した。第一次韓流ブーム時代からずっと現役トップスターで正真正銘のセレブである一方、昨年の第30回釜山国際映画祭のトークイベント「アクターズハウス」に登場した際は、いまなおカメラの前では緊張してしまうと明かしたり、Q&Aでは俳優志望の若者相手に膝を詰めて真剣に演技論を語るなど至って真面目な“役者バカ”の一面をのぞかせた。演じることへのあくなき探究心と演技への欲で、来年も俳優道のトップランナーに君臨し続けてほしい。
(映画ライター・荒井 南)
60代でアクションに挑戦!ベテランの顔で最前線を更新するイ・ヘヨン
ベテラン女優の風格とともにまだまだ若手と対抗できる気合いをも兼ね備えたイ・ヘヨンを、今年の推し女優に挙げたい。2022年以降続くホン・サンス監督との絆は今年も健在で、『旅人の必需品』(公開中)ではイザベル・ユペース扮するフランス語教師と軽妙な会話劇を見せた。しかし彼女が最も強烈な印象を残したのは『The Old Woman with the Knife(原題:파과)』。物心ついたときから殺し屋として生きてきた女性チョガクが老いに直面してきたところに彼女に恨みを抱く青年が現れ…というサスペンスで、主演のイ・ヘヨンは60代と思えないすさまじいキレ味のアクションで観客を熱狂させた。悲劇的な人生を背負いながら孤高に闘うチョガクの姿を思い浮かべるたび、今も私は心の底から力が湧いてくる。その年の韓国映画界で最も活躍した製作者や俳優を選び表彰する韓国映画制作家協会賞で主演女優賞を獲得したのも納得。一刻も早く日本公開を望む。
(映画ライター・荒井 南)
2025年に大ブレイク!これからがなおさら楽しみなホン・ギョン
2025年一躍スターとなったのは、ホン・ギョンだった。10月に配信されたNetflix映画『グッドニュース』で空軍中尉のゴミョンを熱演し、主演のソル・ギョングにも引けを取らない存在感を発揮した。2017年のデビュー以来、映画『潔白』(20)やドラマ「弱いヒーロー」、映画『君の声を聴かせて』(24)など、着実にキャリアを重ねてきたが、ゴミョン役のキレキレの演技でホン・ギョンの魅力にはまる人が続出した。『グッドニュース』は1970年のよど号ハイジャック事件を題材にしたブラックコメディーで、ゴミョンは、赤軍派にハイジャックされて平壌へ向かおうとする羽田発の航空機「よど号」を韓国の金浦空港に着陸させるべくエリート管制官として活躍する。頭脳明晰、英語もペラペラというかっこいい役どころだが、出世欲もあり、欲望と使命感を併せ持つ複雑なキャラクターを演じきった。これまではどちらかというと線の細いタイプの役柄が印象的だったので、アクの強い役は新鮮で、これからどんどん役の幅が広がりそうだ。
(映画ライター・成川 彩)
はかなさも、さびしげな眼差しも武器にしてしまう“魔性の女”、パク・ジヒョン
ドラマ「財閥家の末息子」の頃から注目していたが、2025年の青龍映画賞で助演女優賞を受賞した映画『秘顔』(24)の演技には圧倒された。主人公のソンジン(ソン・スンホン)とスヨン(チョ・ヨジョン)を翻弄するミジュ役は、一見はかなく見えて、実は魔性の女そのもので、このギャップを見事に演じて作品に緊張感を吹き込んだ。『秘顔』のキム・デウ監督にインタビューした時、パク・ジヒョンのことを「初対面でも落ち着いた態度に感嘆した。まだ出演作が少ないにもかかわらず、100本は出た俳優のような雰囲気」と語っていた。肝が据わっているのだ。何より2025年、パク・ジヒョンが注目を集めたのは9月より配信されたNetflixドラマ「ウンジュンとサンヨン」のサンヨン役だ。キム・ゴウン演じる幼なじみのウンジュンと愛憎を抱えた関係を丁寧に演じ、多くの人の感情を揺さぶった。どこか達観したような目が、不幸を吸い寄せるように生き、若くして散ろうとするサンヨン役にぴったりだった。
(映画ライター・成川 彩)

