『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』原作者が絶賛する、板垣李光人&中村倫也の声とキャラクターとの親和性
「吉敷の普通の男の子としての部分を強調していただけて、“普通だ、うれしいな”と感じたのが印象に残っています」(武田)
――武田先生は中村さんのお芝居に「戦場に行っていない日常の吉敷を感じた」とおっしゃっていましたよね。個人的には功績係に任命された田丸に「すげーな、そんな特別な仕事してたのか」と言う部分などに素朴さを感じました。
武田「僕は吉敷はカッコよく演じられるのではないかと思っていましたが、中村さんの『吉敷はもう行動がカッコいいから、芝居でカッコよくする必要はない』とのコメントを見てハッとさせられました。普通の男の子としての部分を強調していただけて、“普通だ、うれしいな”と感じたのが印象に残っています」
中村「それこそ“普通”だったら『生き残ろうぜ、田丸!』(美声)とやりますよね、わかります。そういうふうに(カッコよすぎる演技を)しなかったのには、僕の照れもあります」
武田「でも、吉敷もきっと照れ屋なんですよ。だからとてもマッチしていました」
中村「そうですね。行動のカッコよさを自覚していたり、誰かに見てもらおうと思ってやっている人じゃない。それを見てリアクションする田丸もいてくれるから、僕は普通にやろうと思っていました」
武田「それが本当によかったです。中村さんは終始、本来だったら田舎で家業の農業にいそしんでいるお兄ちゃん、という吉敷像を見せて下さいました」
――田丸に関しては、YouTubeで素の板垣さんの声を聴いて「声質が近い」と思われていたそうですが、演じられたものを聴いていかがでしたか?
武田「元々“田丸っぽいな”と思ってはいましたし、実際に演じていただいてもずっと“いいな”と感じていましたが、驚いたのは大声を出した時です。この言い方が正しいのかはわかりませんが、ごく自然に声が割れたんですよね。声に余裕がなく、恐らく普段から大声を出すタイプでもないからこそ、田丸の状況に対応できていないパニック感が板垣さんのお芝居から伝わってきました。僕が“板垣さんの声は田丸っぽいな”と思っていたのは日常の部分でしたから、戦場にいる田丸の声を初めて聴いた時は目からうろこ状態でした。非常に真に迫っていて、すばらしかったです」
板垣「ありがとうございます」
中村「あれは技術だもんね?」
板垣「技術…ええ、技術です!(笑)」
中村「とのことです!(笑)」
取材・文/SYO
・中村倫也
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