『ドールハウス』から最新作『火喰鳥を、喰う』まで。ジャンル別に見る“2025年をザワつかせたJホラー”
アトラクションムービーとしても楽しめる“ループ系”
続いては“ループ系”。『カラダ探し THE LAST NIGHT』(公開中)はウェルザードによる同名小説を実写化した「カラダ探し」シリーズ最新作で、橋本環奈と眞栄田郷敦が続投したほか、新たに櫻井海音、安斉星来、鈴木福、本田真凜、吉田剛明らが参戦。全身血だらけの“赤い人”に追われながら、バラバラに隠された死体のパーツを集める「カラダ探し」に高校生たちが強制参加させられる。赤い人に捕まると惨殺されてしまうのだが、全員が死ぬと当日の朝に戻り、成功するまで同じ日をループし続ける。
『8番出口』は無限にループする地下通路が舞台。二宮和也演じる主人公が進んでも同じ場所に戻ってしまう地下通路に迷い込む。そこには「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」と案内板に記されており、主人公はポスターや蛍光灯、ドアなどを注意深くチェックしながら脱出を図ろうとする。原作はインディーゲームクリエイターのKOTAKE CREATEが個人で制作したウォーキングシミュレーターゲームで、監督&脚本を『君の名は。』(16)、『怪物』(23)などの企画、プロデュースで知られる川村元気が務めた。
この2本はホラー映画でありながらアトラクションムービーとしても楽しめるのが特徴。死ぬとセーブポイントまで舞い戻り、クリアできるまで何度も挑戦できる「カラダ探し」の設定はまさにゲームそのもの。参加する高校生たちも最初こそ戸惑うが、しだいに死ぬことに慣れていき、むしろそのことを楽しんでいる節も?観客側としても、惨殺シーンはたしかにグロいが、登場人物が完全に退場してしまうわけではないのでどこか安心して見守っていられる。また、舞台が前作の学校から遊園地に移ったこともあり、スケールやゲーム性も大幅にアップしていた。
一方、ゲームが基になっている『8番出口』は、ただストーリーを追うだけでなく、「どこかに異変はないか」と観客自身も目を凝らしてスクリーンの隅々を見てしまうある種の参加型という趣が。異変を見つけられればテンションが上がるし、主人公が異変に気づかなければヤキモキさせられる。細かな伏線もちりばめられており、何度でも見返して確かめたくなるところにもゲーム原作らしい中毒性が感じられる。