シュワルツェネッガーがオファーされたのはターミネーター役じゃない?影響を受けた作品などトリビアでたどる『ターミネーター』
SFアクションの金字塔として高い人気を誇る『ターミネーター』(84)の日本公開40周年を記念し、オリジナルネガに4Kフィルムスキャンを施した『ターミネーター 4Kレストア版』が公開中だ。ジェームズ・キャメロン監督自らが監修し、理想的なバージョンでのスクリーン復帰が実現。そこで今回、キャメロンの本格デビュー作でもある本作の舞台裏や元ネタなど、作品がより深く楽しめるトリビアを紹介する。
ロサンゼルスで“サラ・コナー”という名の女性をねらった連続殺人事件が発生。ウェイトレスのサラ(リンダ・ハミルトン)は、銃を持った男にねらわれたところをカイル・リース(マイケル・ビーン)に救われる。彼によると、犯人は人類とAIが戦う未来から来た殺人ロボット=ターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー)であり、その目的は未来の人類の救世主ジョン・コナーの母親、つまりサラを殺害すること。カイルもまた、ターミネーターを阻止するために未来からやって来たジョンの部下だった!
実はカイル・リース候補だったアーノルド・シュワルツェネッガー
1:キャメロンの頭に浮かんだ悪夢のようなイメージが始まり
本作の出発点になったのが、キャメロンの頭に浮かんだ一つのイメージ。炎のなかからメタル製のスケルトンが起き上がる、悪夢のようなビジュアルだ。その後、ローマで初監督作品『殺人魚フライングキラー』(82)のポスプロ作業に忙殺されていたキャメロンは、トラブル続きだった現場を忘れるため、ホテルで次回作の構想に着手。“炎のなかのロボット”のイメージを膨らませ、未来に影響を与える男を消すため殺人ロボットが現れるストーリーを生みだした。
2:もともと、アーノルド・シュワルツェネッガーはターミネーター役ではなかった?
アーノルド・シュワルツェネッガーの当たり役になったターミネーター。しかし、シュワルツェネッガーがオファーされたのは、ヒーロー役のカイル・リースだった。当初キャメロンは、人間に紛れて行動するターミネーターをどこにでもいる平凡な外見の持ち主だと考えていたのだ。しかし、脚本を読んだシュワルツェネッガーは最強の殺人ロボットに魅了され、キャメロンとの面会時にターミネーター役を直訴。『ウエストワールド』(73)の殺人ロボットを参考に役作りまでした熱意に考えを変えたキャメロンは、ターミネーター役でシュワルツェネッガーを起用した。
3:サラ・コナーのモデルはキャメロンの元妻
のちのシリーズでたくましい女性戦士として活躍するサラ・コナーは、第1作では平凡なウェイトレスとして登場する。そんな彼女のモデルはかつてキャメロンの妻だった一般女性のシャロンだった。彼女はレストランで働くウェイトレスで、労働者階級の若い女性が人類の未来を担うというアイデアはそこから発想が得られた。シャロンと客とのやりとりも脚本に生かされた。その後、キャメロンはシャロンと別れ、本作をプロデュースしたゲイル・アン・ハードと結婚。さらに離婚を経てサラを演じたリンダ・ハミルトンとも結婚した。
4:苦労だらけだった初監督作『殺人魚フライングキラー』
キャメロンが初めて監督としてクレジットされたのは、イタリア資本で製作されたモンスター映画『殺人魚フライングキラー』だ。イタリア人スタッフとの仕事に苦労したうえ、完成前に解雇され、残酷シーンやヌードシーンを追加するなど改変されてしまった。キャメロンは監督のクレジットを外すよう求めたが、そのまま公開されている。ただし、独立心が強く生物海洋学の知識に長けた女性を主人公にするなど、キャメロンらしさも随所に見て取れる。