【ネタバレレビュー】ウェンディ大無双!誰も予想できない結末を迎えた「エイリアン:アース」最終話を徹底考察
ディズニープラス「スター」で独占配信中の「エイリアン:アース」。1979年にスタートした「エイリアン」シリーズ初のドラマシリーズにして初の地球舞台。2つの“初”から始まった本作は回を重ねるごとに問題や疑問が深まりまくり、観る者を翻弄しっぱなし!そんなシリーズもこの第8話で一応のフィナーレとなる。果たしてこれまでの問題や疑問は解決したのだろうか。
※以降、「エイリアン:アース」第8話のネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。
ついに成される、ハイブリッドたちの革命
第8話の冒頭では、プロディジー社の離島、“ネバーランド”は侵入したサイボーグ、モロー(バボー・シーセイ)率いるユタニ社の兵士たちによって通信ケーブルが切断され、文字どおりの孤島状態となっている。そんななか、逃亡を図ったウェンディ(シドニー・チャンドラー)らハイブリッドたちはプロディジー軍に確保されて拘置室に監禁。ウェンディの兄ジョー(アレックス・ローサー)も、捕まったモローと共にもうひとつの拘置室に閉じ込められる。
ただし、これは一時的な状況。というのも、島のシステムを自在に操る能力を得ていたウェンディはそのパワーを発揮して、それまで自分たちを研究材料として扱っていた大人たちに反旗を翻す。いとも簡単に拘束を解き大人たちに立ち向かうのだ。
つまり、最後のエピソードはハイブリッドたちの革命を描いている。
ここで忘れてはいけないのがハイブリッドの特性だ。外見は成人だが中身は子どものまま。支配者が交代する革命だとはいえ、彼らにとっては思春期のティーンエイジャーが迎える反抗期のようでもある。ウェンディはエイリアンに惹かれたわけを「人間は嘘ばかり。でもエイリアンは正直」と語り、「私はマーシーでもウェンディでもない」「求められる存在にはなれない」と続ける。それに対して彼女の兄が世界や人間の複雑さを説くと「そんなことは言わないで」と否定する。まるで反抗期の少女のような言葉を並べるのだ。
これはなにを意味しているか?このシリーズはハイブリッドたちの青春&成長ドラマでもあったということ。これまでも、背伸びしてみたり、大人の要求に屈したり、選択に迷いが生じたりと思春期の定番的な言動が描かれていたことを思い出す。それが普通のそれと大きく違うのは、彼らが未知の能力を持っているハイブリッドだというところ。知力を使ってシステムを操り、体力を駆使して人間=大人を叩きのめす。そして、エイリアンたちを近しい存在であり仲間のように感じる心理もいままではなかったと思う。既成の価値観に染まることのない純粋な子どもたちだからこそであり、純粋だからこそ残酷にもなれるとも言えそうなのだ。
フィナーレのタイトルは「本当の怪物」。これは大人たちを指しているのか、それとも大人たちを平気で殺せるようになった子どもたちなのか。様々な考察ができそうな意味シンなタイトルになっているのもおもしろい。