齋藤潤の魅力が全開!『ストロベリームーン 余命半年の恋』の演技ににじみ出るまっすぐな誠実さ

コラム

齋藤潤の魅力が全開!『ストロベリームーン 余命半年の恋』の演技ににじみ出るまっすぐな誠実さ

2023年に刊行され、“令和イチ泣ける”と反響を呼んだ芥川なおによるベストセラー小説の実写化『ストロベリームーン 余命半年の恋』(公開中)。余命半年の主人公が、残された時間のなかで一生分の恋をするせつなくも美しい青春ラブストーリーだ。そんな本作で、主人公から想いを寄せられる同級生を演じているのが、近年話題作への出演が続いている新鋭、齋藤潤。そこで今回は、人気急上昇中の齋藤の魅力を深掘りしてみたい。

クセありな役もモノにしてデビュー直後から存在感を発揮

2007年生まれ、神奈川県出身の齋藤は、『キングダム』(19)で主演した山崎賢人の演技に感銘を受けて役者を志し、2022年にSFアクション『Phantom Pain』でスクリーンデビュー。その数か月後には、若き女性CEOを中心に、仕事にまっすぐ生きる人々の奮闘を描くドラマ「ユニコーンに乗って」に出演し、物語の舞台となるスタートアップ企業「ドリームポニー」の創業メンバーである栗木次郎(前原滉)の弟、四郎役を好演。兄と同じクリクリパーマに眼鏡というキッチュなスタイルで、登場シーンは短いながらも視線を奪われるニコニコ顔が初々しかった。

その一方、2023年に放送されたドラマ「トリリオンゲーム」では、世界的企業の時価総額と同じ1兆ドル(トリリオンダラー)を稼ぎだすべく成り上がろうとするワガママで人たらしの主人公ハル(目黒蓮)の学生時代にトライ。のちに“世界を覆すハッタリ男”ハルの、イリーガルな原点を垣間見せてくれるちょいワル中学生ぶりが印象的だった。

さらに多様性について問いを投げかける朝井リョウのベストセラー小説を原作とする『正欲』(23)では、ヒロインの桐生夏月(新垣結衣)と同じく“水”に対して嗜好のある佐々木佳道(磯村勇斗)の中学校時代を演じ、陰のある演技も披露した。

こうしたクセのあるキャラクターに観る者が共感し、寄り添いたくなるのは、彼のキャラクター造形の巧みさと醸しだされる魅力の相乗効果があるからこそ。入念な準備を重ねて臨むという齋藤は、丁寧な演技とピュアな笑顔を武器に、デビュー間もないころから難役に挑み、確かな爪痕を残してきたのである。


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