『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が北米で大旋風!記録づくめのオープニングで、たった2日で『無限列車編』超え
日本では7月18日に公開され、夏休み興行を席巻。わずか2ヶ月で観客動員2304万2671人&興行収入330億5606万6300円(9月15日現在)を記録し、日本歴代興収ランキングの2位までのぼりつめている『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中)。先週末(9月12日から9月14日まで)の北米興収ランキングは、満を持して北米デビューを迎えた同作が、事前の予測通りNo. 1を獲得した。
公開前から前売券の爆発的に売れていると話題を集めていた『無限城編』。IMAXなどのラージフォーマットを含む3315館で公開され、初日から3日間の興収は7601万1098ドル。これは今年北米で公開された作品のなかで10位、北米の歴代オープニング興収ランキングでは162位のスタートであり、もちろん上位にいるのはいずれもハリウッドメジャースタジオの錚々たる大作映画ばかり。そこに日本のアニメ映画が加わるという、歴史的快挙を成し遂げたことになる。
ちなみに通常、北米では日本のように観客動員数の発表がされないのだが、日本国内のマスコミ向けに配布されたプレスリリースに記された公式発表によれば、北米でのオープニング3日間での動員は600万8511人。日本と北米では人口や劇場数、映画を日常的に観る習慣のあるなしなどさまざまな違いがあるとはいえ、日本での初日から3日間の動員(384万3613人)を大きく上回ったことはさすがに驚きだ。
このオープニング成績は、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(98)が打ち立て四半世紀以上破られていなかった日本アニメ・日本映画の歴代オープニング興収記録(3103万6678ドル)を倍以上も上回るもので、『ミュウツーの逆襲』以来21年ぶりに北米No. 1を獲得した前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)のオープニング興収と比較すれば3倍以上。前作はコロナ禍の公開だったとはいえ、その北米最終興収(4988万8550ドル)を、今作はたった2日で抜き去っていった。
また、現時点で北米における日本映画の最高興収は『ミュウツーの逆襲』の8574万4662ドル。公開5日目の火曜日にすでに累計興収8000万ドルを突破した『無限城編』は、次週末を迎える前にそれを抜き去ることになる。2週目末に大幅に興収が下落すると予測されているが、それでも1億ドル突破は確実。これまで北米で興収1億ドルを超えた非英語圏製作の非英語作品は『グリーン・デスティニー』(00)ただ一本(非英語圏製作の英語作品では『96時間』があり、北米で製作された非英語作品では『パッション』があるが)。同作の最終興収1億2853万421ドルを超える可能性は非常に高い。
ちなみに、日本でも北米でも興収成績に目が行きがちな『無限城編』だが、実際のところ作品評価はどうなのだろうか。批評集積サイト「ロッテン・トマト」を参照すると、批評家と観客、それぞれからの好意的評価の割合はどちらも98%。とはいえ批評家からのレビュー数は44と少なめ(前作も49レビューで98%だった)で、これは非英語アニメ作品ではよくあること。賞レースに絡むタイプの作品でもなく、ファンダムの強さでスコアが伸びている点は否めないのだが、それでも日本のアニメが北米で互角に、いやそれ以上に戦えているということに勝るものはないだろう。
文/久保田 和馬
