「キャラクターが“生きている”感がある」100mにすべてを捧げる男たちの半生を描く『ひゃくえむ。』映画&原作ファンが感じたリアルとは?

コラム

「キャラクターが“生きている”感がある」100mにすべてを捧げる男たちの半生を描く『ひゃくえむ。』映画&原作ファンが感じたリアルとは?

100mに命を燃やす個性豊かなキャラクターたち

そんな主人公2人を取り巻くライバルたちも個性豊かな奇人ばかりで、“たった10秒の世界”のために命を燃やす姿が心を打つ。

高校生、社会人と年齢を重ねるにつれて増えていくライバルのなかでも日本記録を保持する財津(声:内山昂輝)。「アスリート離れした文豪のような立ち居振る舞い」(30代・女性)という競技者としての高みにある姿が、観る者の琴線に触れる。

そんな絶対的王者、財津の背中を追い続けるベテランの海棠(声:津田健次郎)は、“現実を見据えたうえで、現実逃避する”という独自の哲学が光るキャラクター。

「いまから現実から逃げようか」など“名言製造機”の海棠
「いまから現実から逃げようか」など“名言製造機”の海棠[c]魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

長年、財津という強大な存在の陰で軽視されがちな男がひと泡吹かす姿には「観客からも名前が挙がらないなか、“現実逃避”で勝ちに行くのがかっこよかった」(30代・女性)、「世間の無関心を跳ねのけて、奇跡を生みだしたのが、かっこよすぎる」(10代・男性)と心奪われる人も多かったようだ。

ガチだからこその名言の数々が刺さる!

情熱はもちろん、勝ち続けないといけないプレッシャーや選手生命の終わりへの焦りといった不安や苦悩も描かれ、それでも走り続けるという己の哲学を貫くキャラクターたち。ガチで100mに向き合う彼らが放つセリフの数々は、多くの観客が「多すぎて選べない!」、「絞りきれない!」と述べるような珠玉の名言ばかり。

「100mを誰よりも速ければ、全部解決する」という衝撃的な言葉を投げかけるトガシ少年
「100mを誰よりも速ければ、全部解決する」という衝撃的な言葉を投げかけるトガシ少年[c]魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

なかでもトガシが、映画の冒頭と終盤に語る「100mを誰よりも速く走れば、全部解決する」という衝撃的なセリフは「すべてはここから始まった」(30代・女性)、「いままで悩んでいたことが馬鹿らしく思えるほど救われた気がした」(10代・女性)と、多くの人に印象に残ったよう。

財津の王者ゆえの言葉も深い…!
財津の王者ゆえの言葉も深い…![c]魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

そのほかにも、「小宮くんが勝負に対して初めて声に出した意志であり、どこまでも純粋なセリフだと思った」(10代・女性)という「一度でいいから、1位になってみたい」(小宮)。不安に対するマインドに「価値観にヒビが入るようだった」(10代・女性)という「恐怖は不快ではない、安全は愉快ではない」(財津)など、奥深い言葉の数々は気づきを与えてくれる。


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