数々の名シーンを完全再現!『ヒックとドラゴン』がアニメ版そのままに映像化できた理由とは?
ヒックを背に乗せ、トゥースが大空を飛び回る爽快感がスケールアップ!
実写化でよりスクリーン映えするようになったのが、ヒックを背に乗せたトゥースが大空を飛び回る爽快さ。高速で岩場をすり抜けるスリルやスピード感、大海原を背にした解放感など体感的な映像群は抜群に気持ちいい。圧巻はクライマックスで、体長120mもある巨大なラスボス、レッド・デスと大激突。口から巨大な炎を吐く敵を相手に、地上から雲の中へと上昇し、さらにそこから高速で一気に滑降していく捨て身の空中戦は文句なしの迫力だ。
ヒックとトゥースの友情、父ストイックとの軋轢などドラマも見応え十分
そして、アニメ版と同じく本作のキモになっているのがヒックとトゥースの友情。思いがけず伝説の大物を倒したヒックだが、傷つき怯えるトゥースを前にとどめを刺すのを躊躇。持ち前の発明魂を発揮して尾翼の補装具を自作する。言葉の通じない彼らのコミュニケーションは表情やしぐさのみ。威嚇するトゥースに魚を与え、遊び相手をしながら距離が縮まっていく過程が丁寧に描かれているため、思わず両者に感情移入してしまう。
また、バイキング=ワイルドという旧来の価値観を持つ父との軋轢、臆病なヒックをバカにしていた仲間たちとの関係にもしっかりとスポットが当たる。多様性や共生社会を軸にした人間ドラマは、いまの時代にはより真に胸に迫ってくるものがある。
アニメ版に続いて最強のバイキング、ストイックを演じたジェラルド・バトラーの存在感
俳優陣にも触れておきたい。苦難を通し成長していくヒックをユーモラスに演じたメイソン・テムズの好演も見どころだが、圧倒されるのがアニメ版の声優に続いてストイック役を務めたジェラルド・バトラーの存在感。男手一つで育てた息子を案じながらも、厳しく接する頑固親父のなりきりぶりは感動レベルだ。
ヒックが思いを寄せるアスティ役には、『ダンボ』(19)やドラマ「THE LAST OF US」で絶賛されたニコ・パーカー。アニメ版ではややステレオタイプのキャラだったが、実写版ではパーカーの熱演も手伝って、大人たちに認めてもらおうと奮闘する姿がより大勢の共感を呼びそうな人物になっていたのがうれしい。