ペ・ドゥナ、香椎由宇、前田亜季、関根史織が再会!『リンダ リンダ リンダ』がいまなお愛される理由は「文化やジェスチャーの差を超えたユーモアがあるから」
「何もかもが楽しい思い出で、私生活より青春していたぐらい」(香椎由宇)
――真夜中の学校の屋上に4人が集まるシーンで、「こういう時のことって忘れないからね」という望のセリフがありますが、撮影中のことでそのように思い出されるのはどんな瞬間ですか?
香椎「常に一緒にいたので、その中身というと特になくて、覚えてないんですよ」
前田「ただただ一緒に過ごしてた、っていう」
ペ・ドゥナ「私にとっては全ての瞬間が印象的でした。特にこの3人がとてもプロフェッショナルだったこと。当時10代~20代前半だったと思いますけど、つらいはずの時でもそんな姿を一切見せなくて。韓国語でお腹すいたーとか眠いーと言ってふざけることはあっても、人前では不満を見せないところが、本当に誠実だと思っていました。それに、カメラが回っていない時も必ず楽器の練習をしてたんです」
香椎・前田・関根「ああー」
ペ・ドゥナ「最後まで自分たちでライブをやり遂げるんだという気持ちで、とにかくずっと練習していたんですね。その姿を見て、私も歌詞をちゃんと覚えて完璧に歌おうと思ったんです。その後別の現場でほかの俳優さんたちに会っても、常にこの3人が私にとっての基準になっているので、ハードルが上がってしまったんですよね」
前田「うれしいねー」
香椎「畏れ多い(笑)。でも、私にとってもこの作品は基準になっていて。私はこれがデビューして3作目の撮影だったので、まだ俳優としての香椎由宇というものが出来上がっていなかったんです。なのに主演のペ・ドゥナさんが韓国から来て、亜季ちゃんは芸歴が長くて完成しているし、そこに史織ちゃんというプロのミュージシャンが入るとなったら、私はどの立ち位置でどうしたらいいんだろう? という状態で、そわそわしたまま現場に入ったんですけど…。
いざ始まったらそんなの関係ないぐらい楽しくて。撮影中は4人とも同じホテルに泊まっていて、もちろんそれぞれの部屋もあるんですけど、みんな誰かの部屋に集まって。ドゥナがキムチを持ってきてくれて、納豆と豆腐を買ってきて食べたり。何もかもが楽しい思い出で、私生活より青春していたぐらい」
前田「ぎゅーっと凝縮した青春ね」
香椎「そうそう。私はあの時実際に高校生だったんですけど、芝崎高校(劇中で4人が通っていた高校名)での高校生活のほうがよっぽど楽しくて出席数も多いぐらいでしたね」
前田「今思うと本当に貴重で、ありがたい時間だったなと思います。リハーサルも楽しかったし、バンドの練習も空き時間になると誰からともなく始めるというか。のんちゃん(望=関根)が動いたらみんなもつられて、さりげなく楽器を弾き出すとか」
関根「うん、そうだったね。今回のリバイバル公開にあわせてパネル展をやっているんですけど、撮影中に自分が『写ルンです』で撮っていた写真や、他のメンバーが撮った写真もあって、それを見返すとみんなで自然に抱き合ってたり…なんかベタベタしてて(笑)。うわあ、仲よかったんだなぁって」
香椎「え、今も仲いいよ」
関根「いや、そうなんだけどね」
前田「近かったね、距離がね」
ペ・ドゥナ「映画の中で音楽をやっていたことも大きいと思います」
前田「最初はみんな個別で練習してたんですよ。私はドラム、由宇ちゃんはギター、史織ちゃんはプロだから当然弾けますけど。それぞれスタジオに入って練習してたから、みんなで初めて音を合わせた時が楽しくて…!その時のうれしさって結構覚えていて、やっぱり音楽って大きな力があるなあと。一気にこう、グッとまとまるというか。そういうのもあってみんなで一つになれたのかな、と思いますね」