ペ・ドゥナ、香椎由宇、前田亜季、関根史織が再会!『リンダ リンダ リンダ』がいまなお愛される理由は「文化やジェスチャーの差を超えたユーモアがあるから」
即席で結成された女子高生バンドが文化祭でブルーハーツを演奏するーー。2005年、当時28歳だった山下敦弘が監督を務め、『ほえる犬は噛まない』(00)に出ていたペ・ドゥナを主演にむかえた『リンダ リンダ リンダ』。映像業界における日韓コラボレーションの先駆けともいうべき同作が、20年ぶりに4Kデジタルリマスター版として公開中だ。
これを記念して、韓国からの留学生ソンを演じたペ・ドゥナ、ドラムの響子を演じた前田亜季、ギターの恵を演じた香椎由宇、ベースの望を演じた関根史織ら劇中バント・ザ・パーランマウムのメンバーが日本で再会。8月21日に行われた公開前夜祭の舞台挨拶への登壇から一夜明けて、同窓会さながらに行われたインタビューと写真撮影では、誰かが話し始めると他のメンバーの記憶の扉も次々と開いて話が尽きない。取材のタイムリミットを告げられると「ええ~?」「もう!?」「あっという間すぎる!」と名残惜しそうな笑い声が飛び交う。そこには映画から生まれた色褪せない幸せの形があった。
「大好きな4人と山下監督との再会は、胸が張り裂けそうな気持ちになりました」(ペ・ドゥナ)
――『リンダ リンダ リンダ』の公開から20年、久しぶりに4人がそろった実感はいかがですか?
ぺ・ドゥナ「実は、みんなと再会する前はすごく緊張していました」
香椎「私もちょっと緊張はしてたんですけど、舞台挨拶のメイク中に『ソンちゃん(ペ・ドゥナが劇中で演じた役名)来たよ!』と知らされて、3人ともメイクを中断して会いに行ったら、そのままワーイって盛り上がっちゃって。会った瞬間にもう昔のままだったので、一気にあの頃に戻った感じがしましたね」
関根「私もみんなと同じで緊張していたけど、会ったら、みんな変わってなかった(笑)。すごくうれしかったし、いまも楽しい時間を過ごしています」
前田「山下監督も変わってなかった!それにもびっくりしちゃう(笑)」
ペ・ドゥナ「昨晩の(公開前夜祭での)舞台挨拶でステージに立った時も、やっぱりものすごく緊張したんですけど、私にとっては本当に光栄な場だったんです。大好きな映画で出会った4人とこうして再会できて、山下監督にもお会いできて。さらに観客の皆さんともまた会えたのが夢のような感じがして。もう泣きそうで、胸が張り裂けそうな気持ちになりました」
香椎「舞台挨拶が終わって袖にはける時に、ドゥナがドアにぶつかったんですよ。それを見た時に、ああドゥナちゃんだ~と思ったら、なんだかホッとしちゃって(笑)。なので昨日一日は夢心地でした」
前田「こんな幸せなことはなかなかないですよね、20年経ってもう一度あんなに大きなスクリーンで観られるって。映画館に入ったら満席のお客様が待っていてくださって、あらためて恵まれた作品だなと思いましたし、思った以上に初めて観るというお客さんが多くてびっくりしたよね…!」
ペ・ドゥナ「なのに私が劇中のセリフを言ってネタバレしちゃって…!」
――公開前夜祭の舞台挨拶に松山ケンイチさんが駆けつけて、劇中のワンシーンを再現したのはサプライズだったと思うのですが、即興で見事にソンのセリフを返していましたね。あの場ですぐに思い出したのでしょうか?
ペ・ドゥナ「あのセリフは撮影している時から珍しいセリフだなと思っていて。『嫌いじゃないけど、好きじゃない』、ある意味ちょっと残酷ですよね。こんな言い方もできるんだ…!と思って、ずっと脳裏に焼きついていたんです。あれは日本語ではよく使う表現ですか?」
関根「いや」
ペ・ドゥナ「じゃあ山下ワールドの言葉なんだ(笑)」
――脚本には日本語と韓国語のセリフも出てきますが、皆さんで教え合ったりもしていたんですか?
ペ・ドゥナ「(日本語で)カネ、出せ!」
前田「ヘンなの教えちゃった(笑)」
香椎「韓国語も教えてもらったりねー。ピョンテ、とか(笑)。そういう学生ノリの単語のやり取りをねー」
前田「うん、覚えてる」
ペ・ドゥナ「そのおかげで、撮影中にお腹が空いてスタッフさんには言いづらい時も、韓国語で言い合ったりできたのはよかったですね」
香椎「ペゴパー(배고파/お腹すいた)とか、ペブロヨー(배 불러요/お腹いっぱい)とかね」
前田「言ってた言ってた」
香椎「毎朝、チョルリョー(졸려/眠い)、チャルジャッソヨー?(잘 잤어요?/よく眠れた?)みたいに声をかけ合ってたよね。こうして一緒にいると思い出してきますね」