「ありのままの自分を受け入れてくれる人は、絶対にいる!そう信じていました」
「そのままの君が好きだよ」というグロードンとエリオが肩を寄せ合う場面は、本作の名シーンのひとつ。そして鎧に身を包んだグライゴンも殻を打ち破っていくなど、本作から溢れだすのは「ありのままの自分でいい」「自分の居場所はきっとある」というやさしく、勇気をもらえるようなメッセージだ。
現在のバービーは、SNSやYouTubeではすっぴんや寝起き姿も披露。飾らず、ありのままの自分や本音をさらけだす姿も、人気を集めている。「ありのままでいられる、自分の居場所とは?」と尋ねてみると、バービーは「家です」と即答。「楽屋にたくさんお弁当を用意してくれたり、すごく丁寧に対応していただいたり、自分でも華々しいお仕事をさせていただいているなと感じることもあって。でも家に帰ったら汚いTシャツ、汚いズボンを履いて、汗だくになりながら、子どもにもみくちゃにされながら、ただただ犬を撫でています」と大笑いし、「外に出たら10分単位で切り刻むように生きていても、家に帰ったらその10分を『もったいない』と感じないままで過ごす。この家での時間は、私にとってものすごく大切なものです」と心を込める。
さらに「夫はふざけた人なので、楽しいですよ。自分のありのままを出せる存在です。トイレのドアを開けたままにしても平気だし、どんな話だってできる」と感謝しつつ、「ただ私、特に異性に関しては『ありのままの私を受け入れてくれるのは、当たり前ですよね』というスタンスからスタートするんです」とぶっちゃけ。
「テレビでお下劣なことや変なことをやっていても、『この私を受け入れられる人、このハードルを越えられる人だけいらっしゃい!』という感じで(笑)。やっぱり、長らくハードルを越えてくるような人はいなかったですね。でも私は、このハードルを越えてくれる人はいる。ありのままの自分を受け入れてくれる人は、絶対にいる!と信じ続けていて、その想いはブレませんでした。そうしたら、いましたね!夫とは、奇跡的な出会いでした」と目尻を下げる。「ありのままの自分を好きになってもらわなければ、しょうがないですから。なにかを繕ったりするほうが、遠回りになる気がしていました。エリオとグロードンの友情も、そういったものですよね」。
本作を観ながら、あらゆるシンパシーを感じて涙腺を刺激されまくったというバービー。「めくるめく宇宙への旅で、映画を観た日の夜は宇宙に飛ばされてしまう夢を見ちゃいました!」と声を弾ませながら、「非日常のアドベンチャーを通して、子どものころのような心を取り戻しながら冒険を楽しんでいると、その先にはエリオとグロードンの友情に心が温まったり、どこか自分と似たようなものを感じるグライゴンが殻を破る瞬間を見ることができたりと、大きな宇宙のように自分を包んでくれるような映画でした。うちの娘はアドベンチャーやアクションも大好きなので、もう少し大きくなったら一緒に観たいなと思っています」とその日を楽しみにしていた。
取材・文/成田おり枝