松下洸平起用の決め手は「古風とも言える昭和感がありながら華もある」佇まい『遠い山なみの光』キャスティング秘話&新場面写真

松下洸平起用の決め手は「古風とも言える昭和感がありながら華もある」佇まい『遠い山なみの光』キャスティング秘話&新場面写真

ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの同名長編デビュー作を石川慶による監督、脚本で映画化した『遠い山なみの光』が9月5日(金)に公開となる。このたび、松下洸平キャスティング秘話と新場面写真が解禁となった。

【写真を見る】広瀬すず演じる妊娠中の悦子の夫、二郎役を松下洸平が演じた
【写真を見る】広瀬すず演じる妊娠中の悦子の夫、二郎役を松下洸平が演じた[c]2025 A Pale View of Hills Film Partners

日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)。大学を中退し作家を目指す彼女は、戦後長崎からイギリスへと渡った母、悦子(広瀬すず)の半生を綴りたいと考える。娘に乞われた悦子は、30年前の戦後復興期の活気あふれる長崎で出会った女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出を語り始める。初めて聞く母の話に心を揺さぶられるニキだったが、なにかがおかしい。彼女は母の語る物語に秘められた“嘘”に気づき始め、やがて知られざる真実に辿り着く。

本作の主人公、悦子を広瀬、悦子が長崎にいた頃に出会う、謎めいた女性であり幼い娘と暮らす佐知子を二階堂ふみが演じる。そして、長崎を離れイギリスで暮らす1980年代の悦子を吉田が演じ、広瀬演じる1950年代の悦子の約30年後を体現する。

今回、松下を捉えた新たな場面写真がキャスティング秘話と共に解禁。戦争で右手の指を失くし、心身ともに傷を負った人間の屈折や哀しみも持つ二郎を、確かな説得力で演じた松下。2人で住む長崎の団地で、妊娠中の悦子のお腹に手を当て身重の妻を気遣う姿、そして福岡から訪ねてきた父の緒方(三浦友和)との複雑な関係性を匂わせる物憂げな表情、最後に悦子に核心的な問いを投げられ、答えをはぐらかす姿など作中でみせた松下の様々なシーンが写し出されている。

悦子に核心的な問いを投げられ答えをはぐらかす松下
悦子に核心的な問いを投げられ答えをはぐらかす松下[c]2025 A Pale View of Hills Film Partners

キャスティングに際し、悦子の夫という重要な役に、松下が白羽の矢を立てられた決め手は「古風とも言える昭和感がありながら華もある」佇まいだったという。石川慶監督は、二郎を人間臭さや色香の感じられるような人物にしたいと考えた時に、松下ならば演じられると確信めいたものがあった。そして、松下が長崎の原爆をテーマとした舞台「母と暮らせば」に出演しているのを観たプロデューサー陣は、彼の長崎弁と時代背景への理解度に期待をしたという。


ピースがピタリとはまった豪華かつ最強のキャスティングが叶った本作は、終戦間もない長崎という、まだ過去にしきれない「傷跡」と未来を夢見る圧倒的な「生」のパワーが渦巻いていた時代を生き抜いた女性たちの姿を鮮明に描きだす本作。先の見えない時代を生きる私たちに前へ進む勇気をくれる、感動のヒューマンミステリーに期待に高まる。

文/鈴木レイヤ

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