「ガメラ生誕60周年プロジェクト」本格始動!樋口真嗣&小椋俊一監修の昭和ガメラ3作品4Kデジタル修復版上映決定
<コメント>
●樋口真嗣(4Kデジタル修復監修)
「私が生まれた年に作られた映画ですから、かれこれ60年前の映画です。 本来なら制作に携わった方が監修すべきなのですが、見渡した限りどなたもいらっしゃいませんでした。残念なことです。そしてこのたび、私たちの世代にとってはレジェンド級のタイミングマンである、小椋俊一さんとデジタルグレーディングの第一線を切り拓いているイマジカのカラリスト、阿部悦明さんのお力添えで不肖樋口、いちファンの代表として、この大任を慎んでお引き受けさせていただきました。暗部に埋もれ、グレインに隠されていた怪獣たちの皮膚感を洗いだし、当時の低感度ネガフィルムに記録されていた現場の空気感を発掘するのは、試行錯誤を重ねてすばらしい作品を作りだした先輩たちの偉業を追体験するようで、すばらしく幸せな作業でした。
とりわけ、タイミングデータから明らかになる、オプチカルプリンターを介さずにオリジナルネガを巻き戻して二重露光をしたダブルロール合成カットの多さは衝撃です。ブルーバック合成という選択肢を当たり前のように選ぶことが難しい時代に怪獣映画を撮っていた先輩たちの労苦には感服するばかりです。誰も観たことのないガメラの誕生を、刮目してご覧ください」
●小椋俊一(4Kデジタル修復監修)
「この企画のお話をいただいたとき、まさか自分の子どものころ劇場で観た『昭和ガメラ』の4K修復にかかわれるとは思ってもみなかったので、うれしく思いました。『平成ガメラ三部作』には、タイミングとして関わりました。劇場で皆さんがご覧になったのは、プリントフィルム(ポジ)です。今回の4K修復はネガからの修復です。ポジを通さない分、当然劇場での見え方と変わります。ネガはポジでは表現できなかった明部、暗部のディテールなど、豊富な情報を持っています。その情報を損なわないように、なおかつ当時観たような質感を求めて修復しました。ご期待ください」
文/サンクレイオ翼