『星つなぎのエリオ』が“おばさんと甥っ子”の関係を描いたワケとは?監督&プロデューサーが教える制作秘話

『星つなぎのエリオ』が“おばさんと甥っ子”の関係を描いたワケとは?監督&プロデューサーが教える制作秘話

「ピクサーは現実とファンタジーの境界を美しく越えるのが得意」(マデリン・シャラフィアン)

『リメンバー・ミー』のストーリーアーティストを務めたマデリン・シャラフィアン(右)
『リメンバー・ミー』のストーリーアーティストを務めたマデリン・シャラフィアン(右)[c]2025 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

SFという意味で本作には、天文学者で「コンタクト」などの作家、カール・セーガンの言葉が使われる。その結果、エリオの宇宙での冒険が現実とリンクするわけだが、マデリン・シャラフィアン監督にとってもそこは重要だったようだ。

「エリオが宇宙やエイリアンに対してどんな想いを抱いているのか。セーガンの残した言葉がその答えになっている気がします。実際のセーガンのインタビューの音声を、たまたま見つけた彼の映像に重ね、エリオとオルガのケンカの後に繋げてみたところ、映画を観る人がエリオの気持ちを心から理解できると確信できました。つらい想いをしたエリオが、星々を見て気持ちを落ち着かせるわけで、そこにセーガンの言葉がぴったりハマったのです。『ウォーリー』にも(現実世界の映画である)『ハロー・ドーリー!』の映像がうまく使われたように、ピクサーは現実とファンタジーの境界を美しく越えるのが得意なんです」。

星つなぎのエリオ』が、観た人にどのようなメッセージを届けられるか。その質問にマデリン・シャラフィアン監督は満足げな表情で次のように答える。

「孤独感や、周囲の世界になじめない感覚は、誰もが味わう普遍的なものでしょう。時として、近くに大切な相手がいながら、そこに手を伸ばせずに孤独になる場合もあります。本作は、自分と違う相手に自ら手を伸ばすことの大切さを描いており、その側面からエリオに共感できた…という反応を実感しています」。


共感の声が多く寄せられている『星つなぎのエリオ』
共感の声が多く寄せられている『星つなぎのエリオ』[c]2025 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

壮大な宇宙を舞台に、心ときめくカラフルなビジュアルに陶酔しながら、近くにいる大切ななにかに手を伸ばす勇気をもらえる。『星つなぎのエリオ』は、そんな作品なのである。

取材・文/斉藤博昭

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