「魔法少女山田」総括座談会。「TXQ」と“考察”を大森時生、寺内康太郎、皆口大地が語り合う
「恐怖心を持った瞬間、あらゆる思考が塗りつぶされてしまう」(大森)
――いまの話に「触れたくなってしまう」とありましたが、そもそも“恐怖心”というものをみなさんはどう捉えているのでしょうか?本作の放送決定のリリースに寄せられたコメントでは、寺内さんは「恐怖は無意識に根を張る確信」、大森さんは「認識したら戻れない」と書いていましたが、このコメントの意図を具体的に伺いたいです。
寺内「僕自身も巨大物に対する恐怖症がありまして、ずっとそれに気付かずに生きてきたんです。脚本を書きながら、それに気付いた時のことを思い出して貝塚に投影していました。よく自転車で通る道に、大きな仏像が鎮座しているんです。なにも考えてなかったり、仕事のことで頭がいっぱいになっている時でも、それを見ると“怖い”と確信するんです。悲しい時も楽しい時も、感情とは関係なくあらわれるものなので、これはいろいろな感情を飛び越えた確信のようなものなのだろうと」
皆口「よくホラーを作られている監督さんと話をすると、みなさん“怖い”をロジックで理解されているんですよね。それはすごく羨ましいことで、自分はなんで怖いのかわからないことのほうが多いんです。それこそ人の食べ物の好き嫌いの理由が言語化できないのと同じようなことなのかなと。自分は虫が苦手なんですが、その理由もいまひとつうまく説明できないですし」
大森「僕も恐怖心というものは、基本的に自分のなかで認識しきれないものだと思っています。喜怒哀楽のどれでもなく、なんとなく不安という感覚に近く、認識した瞬間に恐怖へと変貌する。それはなにかを思っているとか考えているというよりも、抜け落ちる感覚に近いと思うんです。恐怖心を持った瞬間、それまで持っていたあらゆる思考が全部塗りつぶされてしまうような」
――ちなみに、大森さんの怖いものは?
大森「そうですね…。職業柄どうかとは思うのですが、ザ・芸能人という方は怖いですね(笑)。自信にあふれている感じというか、そういう雰囲気の方の前に立つと、不安に駆られることがあります」
「“魔法少女”まで来たら、あとはもうUFOしか残っていない」(皆口)
――今後、「TXQ FICTION」でやってみたい題材はありますか。
皆口「もう“魔法少女”まで来たんですから、あとはもう“UFO”しか残ってないですよね」
大森「たしかにUFOはいいですね」
皆口「いつかUFOを真面目に取り上げてみたいと前々から考えていて、このメンバーで作ったら絶対おもしろくなるはずです。あとは大森さんとテレビ東京さんが首を縦に振っていただければ…」
寺内「僕は二つ、やりたいことがあって。一つは冤罪をテーマにした裁判ものをやりたい。そしてもう一つは、難しいテーマですが、“戦争”を描いてみたいという想いがあります」
大森「なるほど。やりがいがありそうですね」
――最後に、「TXQ」メンバーでもある近藤亮太監督が映像演出を手掛けている「恐怖心展」についてもお話いただければと思うのですが、「魔法少女山田」はその事前番組。なにかつながりはあるのでしょうか。
大森「そこはシンプルに、“恐怖心”というテーマでつながっているだけで、内容としては完全に切り離されています。『魔法少女山田』では魔法少女が怖かったり、ある曲をみんなが知っていることに不安感を抱いたりしていましたが、『恐怖心展』ではさまざまな恐怖心に関するストーリーが、梨さんのテキストや近藤監督の映像を通してショートショートのように連なっています。なのでどちらを先に観ていただいても大丈夫です。『魔法少女山田』は無料でYouTubeで観られますから、おもしろいと思っていただけたら是非『恐怖心展』にもお越しください」
取材・文/久保田和馬
TVerにて配信中
https://tver.jp/series/srog0v9atu
■「恐怖心展」
会期:〜8/31(日)
会場:BEAMギャラリー 東京都渋谷区宇田川町31-2 渋谷BEAM 4F ※渋谷駅徒歩5分
開催時間 :11:00〜20:00 ※最終入場は閉館30分前まで ※観覧所要時間約90分
料金:2,300円(税込) ※小学生以上は有料
主催:株式会社闇、株式会社テレビ東京、株式会社ローソンエンタテインメント
会場協力:東急不動産株式会社
企画:梨、株式会社闇、大森時生(テレビ東京)
医学監修:池内龍太郎(精神科医)
公式HP:https://kyoufushin.com
