『学校の怪談』30周年!脚本家・奥寺佐渡子が明かす、オバケを生みだした舞台裏
「Jホラーブームの影響を受けた『学校の怪談4』では、これまでより大人向けの作品を目指しました」
金子修介監督がメガホンを取った『学校の怪談3』(97)を経て、3年ぶりに奥寺と平山監督がタッグを組んだ『学校の怪談4』(99)は、嵐の日に海で死んだ人が帰ってくるという言い伝えのある海辺の町を舞台に、津波によって死んだ子どもの霊が甦り、子どもたちが一人、また一人と姿を消してゆくという物語。これまでのコミカル色を排したテイストで、静かな恐怖が描かれた。
――『学校の怪談3』については、唯一脚本を担当されていないですね。
「『3』があると聞いて、よかった!と思いました。でもオバケを出し尽くしたあとですから、大変だったと思います(笑)」
――自作でない『学校の怪談』をご覧になって、どんな印象でしたか。
「自分が関わっていないので気楽に観られましたし、アクションシーンも多く、楽しい映画でした。オバケが本気で襲ってくるので怖かったですね」
――平山監督と再タッグを組んだ『学校の怪談4』ではガラッと作風が変わりましたが、どういった経緯だったのでしょうか。
「『3』から『4』のあいだの2年で(1998年1月の『リング』公開を契機とする)Jホラーブームが起こって、『1』を観た子どもたちもちょっと大きくなっていたので、『もっと大人向けにしてもいいんじゃないか』という流れがありました。当時、『リング』の影響力というのはすごかったですね」
――『4』は物語の構造やキャラクターの配置も、それまでとはかなり異なりますね。
「『1』と『2』は自分が襲われる怖さなんですが、『4』は大切な人がいなくなる怖さなので、より精神年齢が高いと思います。ドタバタもなかったので、物語の作り方も違っていましたね」
――『4』にもJホラーブームの影響があったということですが、『リング』を観た時はどう感じられましたか。
「もう…寝られなくなりました(笑)。ホラーってそれまでは怖くてなかなか観てなかったんですけど『学校の怪談』を書くのにあたって観てみて、そこからは積極的に観るようになりました」
「いま『学校の怪談5』を作るとしたら、携帯を当たり前に持っている子どもたちの冒険を書くことになると思います」
――『学校の怪談』と同時代には、“ジュブナイルもの”のホラー映画もたくさん作られていましたが、印象に残っている作品はありますか。
「松岡錠司監督の『トイレの花子さん』は、おもしろかったです。青春映画でキュンとなるような作品で。『子どもだから』と甘やかしていない感じが印象的でした」
――奥寺さん自身の、“ベストホラー映画”をあげるとしたらなんでしょうか。
「ホラー映画のなかでしたら、『悪魔のいけにえ』が好きですね。あとは純粋なホラーとはちょっと違うかもしれないですが『遊星からの物体X』。それと黒沢清監督の作品が好きなので、『CURE』には刺激を受けました」
――Blu-ray化によって、いままでよりも映像がクリアになりましたが、特に注目してほしいポイントはありますか。
「昔、VHSで観た時は『画面が暗めに見えるな』と思っていたんですが、Blu-rayでは暗い場面も観やすくなりました。いまとは違いアナログ中心で作られた、温かみのある特殊効果に注目してみてほしいですね」
――最後にぜひ伺いたいのが、『学校の怪談5』があるとすれば?という質問です。もしまた奥寺さんが『学校の怪談』を書くとしたら、どういうものになると思いますか。
「30年前と比べて、子どもがすごく大人になったなと思うんですよね。他人にハナクソつけるような子は、もういないような。それに、『学校の怪談』シリーズは子どもが携帯を持っていない時代だから成立した物語だというのはあると思うんです。自分の子どもを通して最近の子どもの会話を聞いていると、内容からなにから昔とはまるで違うから、『そんなセリフ、自分に書けるのかな』とも思います。でも、もしいま書くとしたら、携帯を当たり前に持っている子どもたちなりの冒険を書くことになるんだろうなと思います」
――ぜひ、観てみたいです。ありがとうございました!
取材・文/近藤亮太
価格:6,050 円(税抜価格:5,500 円)
本編100分/カラー/ビスタサイズ/2 層(BD50G) /音声:①日本語 2.0ch サラウンド ドルビーTrue HD ②日本語 5.1ch サラウンド ドルビーTrue HD(2004Remix) ③オーディオコメンタリー(平山秀幸監督・野村宏伸/ 聞き手:尾山ノルマ)/字幕:①日本語バリアフリー字幕
特典映像:特報/劇場予告/TV スポット/『学校の怪談』メイキング/『学校の怪談』のクリーチャーたち:SFX 解説/映画「学校の怪談」の裏側/スチールギャラリー(静止画)
『学校の怪談2』Blu-ray 発売中
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本編103分/カラー/ビスタサイズ/2 層(BD50G)/音声:①日本語 2.0ch サラウンド ドルビーTrue HD ②日本語 5.1ch サラウンド ドルビーTrue HD(2004Remix) ③オーディオコメンタリー(平山秀幸監督・奥寺佐渡子/聞き手:佐藤利明)/字幕:①バリアフリー日本語字幕
特典映像:特報/劇場予告/TV スポット/『学校の怪談2』メイキング/『学校の怪談』のクリーチャーたち:SFX 解説/プロモーション映像/放課後のうわさ話/スチールギャラリー(静止画)
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価格:6,050 円(税抜価格:5,500 円)
本編96分/カラー/ビスタサイズ/2 層(BD50G)/音声:①日本語 2.0ch サラウンド ドルビーTrue HD ②日本語 5.1ch サラウンド ドルビーTrue HD(2004Remix) ③オーディオコメンタリー(西田尚美・藤田義則プロデューサー/聞き手:松下友美)/字幕:①バリアフリー日本語字幕
特典映像:特報/劇場予告/TV スポット/『学校の怪談3』メイキング/『学校の怪談』のクリーチャーたち:SFX 解説/プロモーション映像/スチールギャラリー(静止画)
『学校の怪談4』Blu-ray 発売中
価格:6,050 円(税抜価格:5,500 円)
本編99分/カラー/シネスコサイズ/2 層(BD50G)/音声:①日本語 2.0ch サラウンド ドルビーTrue HD ②日本語 5.1ch サラウンド ドルビーTrue HD(2004Remix) ③オーディオコメンタリー(平山秀幸監督・笑福亭松之助/聞き手:古怒田健志)/字幕:①バリアフリー日本語字幕
特典映像:特報/劇場予告/TV スポット/『学校の怪談4』メイキング/プロモーション映像/老人と子供のポルカ~学校の怪談バージョン/スチールギャラリー(静止画)
※本作には、津波の描写が含まれています。ご鑑賞にあたりましては、予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
※上記『学校の怪談』~『学校の怪談4』はすべて発売元:東宝。
