『学校の怪談』30周年！脚本家・奥寺佐渡子が明かす、オバケを生みだした舞台裏

「『嫌いになっちゃうぞ』『木に上っちゃうぞ』とか、変なヒロインの方が好きなんです(笑)」

『学校の怪談２』(96)の舞台は春休みの小学校。「4月4日4時44分の伝説」という奇妙な噂に怯えながら、翌日に控えた肝試しの準備を進める生徒たちが遭遇する恐怖を描く。奥寺のほか平山監督、主演の野村が再び集結し、西田尚美、岸田今日子らも加わった本作はさらなるヒットを記録し、1996年度邦画2位となる16億円の配給収入を上げた。

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――前作の大ヒットを受けて『学校の怪談２』が製作されたわけですが、物語はどのように着想されたのでしょうか。

「1作目が爽やかな話だったので、もうちょっとバカげた話にしたいと平山監督がおっしゃっていました。主演の野村さんが続投することに決まったので、どうせなら小向先生とは真逆のキャラクターにしようということで、“寺泥棒”になりました」

前作とは正反対の役柄に挑戦した野村宏伸[c]1996 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――登場するオバケはどうやってセレクトしたのでしょう。

「テケテケは1作目で人気があったので『もう一回出そう』とすぐ決まりました。あとは『1』で出していなかった人気のオバケ、たとえば人面犬なんかを選んでいきました。その時は『3』があるとは思わず、『まだ出していないオバケは全部出しちゃえ』っていう勢いでしたね」

――前田亜季さんが演じるなな子の「嫌いになっちゃうぞ！」という台詞がファンの間でとても人気があるんですが、このセリフを書いた時のことは覚えていますか。

「私はただ可愛いだけじゃなく、変なヒロインの方が好きなんです。書いている時は『くどいかな』って思ってたんですけどね。『嫌いになっちゃうぞ』だけ言えばいいのに、『木に上っちゃうぞ』とかいっぱい言う子なので(笑)」

よりパワーアップしたオバケたちと、岸田今日子の怪演が光る『学校の怪談２』[c]1996 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――すばらしい台詞だと思います。脚本を書く時は口に出しますか？

「出しますね。口に出すことでキャラクターのことがわかる瞬間も多いです。どんなテンポで喋るんだろうとか、自分で言ってみて、耳で聞いて。毎回ではないんですけど、うまくいかない時は必ず音読して、そうするといろいろわかっていきます」

――笛を吹いて会話する三好憲(太田翔平)という少年も印象的なキャラクターですが、彼にはどのような設定があったんでしょうか。

「実験として休みのあいだだけ喋らないようにしているという設定でした。子どもの頃、よく“白線の上だけ歩く”みたいな、変なこだわりってありましたよね。だから最後に『先生』と叫ぶのは、自分で“縛り”を破ってしまうというシーンなんですよね。シナリオを読み返すと、憲の台詞の大半が『ピー』で、よくこんなの許してもらえたなと(笑)」

田舎の寺に合宿に来た都会の小学生たちが大騒動に巻き込まれる『学校の怪談２』[c]1996 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――笛の音なのに、だんだんなにを言っているのかわかってくるのがすごいです。

「録音部の宮本久幸さんがいろんな音色の笛を何本も削って作ってくださったんです。現場でも笛は吹いているんですけど、あとで別の笛の音を作って入れていました。なに言ってるかなんとなくわかってくるの、いいですよね」