『学校の怪談』30周年！脚本家・奥寺佐渡子が明かす、オバケを生みだした舞台裏

「撮影現場は活気があって、意見を出し合いながらいろんなことを試していました」

オーディションで選ばれた子役たちのあまりに自然な存在感が、本作の雰囲気をさらに高めている[c]1995 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――子どもたちのキャラクターたちはどのように作っていったのでしょうか。キャストが決まってから変えた部分はありますか。

「先に脚本で“転校生”、“ガキ大将”など、キャラクターを色分けして書き、そこからかなりの長期間、子どもたちのオーディションをしていました。最後まで残った子たちはみんな達者で、役者としてキャラクターを演じられる子ばかりでした。もちろん演出のなかで、その子らしさを引きだしたりと寄せていくことはあったと思うんですけど、脚本自体をキャストに合わせることはなかったですね」

岡本綾が演じた少女、小室香織の切ないプロットが胸に残る[c]1995 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――撮影現場にも行かれたのでしょうか。

「行ける時はほとんど行っていたと思います。(外観などを撮影する)ロケのほうは狭かったりで忙しそうでしたので、(内観のセットを組んだ)スタジオで撮影するときに行っていました。本番中、スタッフさんと一緒にセット裏に回ってセットの柱をグラグラ揺らすお手伝いをしたりもして、楽しかったですね。いまでも撮影現場には、邪魔にならないタイミングがあればなるべく行くようにしています」

――撮影現場の雰囲気はどんなものでしたか。

「平山監督のお人柄もあると思うんですが、ギチギチした感じがあまりなくて活気がありました。いろんなことを試そうと、意見を出し合いながらやっている印象でした」

当時30歳だった野村宏伸の柔らかな演技が、物語に安心感をもたらしている[c]1995 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――野村宏伸さん演じる小向先生が、過去に自身が関わってしまった“いじめ”について振り返るシーンが印象的ですが、どのような想いで入れたのでしょうか。

「自分が子どもの頃に乗り越えられなかったことを、大人になって乗り越えるというイメージでした。最近観返して、自分ではあんまりうまくいってないなとも思ったんですけど。それと、旧校舎に閉じ込められても必ず出られるっていうことが、小向先生にはわかっている、だからクライマックスで飛び込めるんだっていうことの表現でもありましたね」

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――完成した作品をご覧になっての印象はいかがでしたか。

「脚本を書き始めた時点では、オバケのデザインは全然決まってなかったんです。書いているうちにだんだんデザインが決まっていって、それを元にイメージして書いたりはしていましたけど、完成した作品を観るまでは知らないこともあったので、お客さんと同じようにワクワクして観ていたと思います。特にインフェルノなんかは全然イメージできていなかったので、初号試写で観た時には、『こんなに怖いんだ…』ってちょっと引きました」