“もうひとりの主役”に長澤まさみも嫉妬!?『ドールハウス』は表情豊かなアヤの怪演に注目
長澤まさみが『ウォーターボーイズ』(01)や『スウィングガールズ』(04)の矢口史靖監督とタッグを組み、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつポルト国際映画祭でグランプリに輝くなど海外からも高い評価を獲得した『ドールハウス』(公開中)。このたび本作から、“もうひとりの主役”と呼ぶべきアヤ人形の裏話と場面写真を入手した。
5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤)と夫の忠彦(瀬戸康史)。哀しみに暮れる佳恵は、骨董市で見つけた芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり元気を取り戻していく。だが新たな娘の真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくってしまう。やがて5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになるのだが、その頃から一家に奇妙な出来事が次々と起きはじめることに。
特殊メイク・特殊造形の藤原カクセイが、矢口監督のイメージを基に制作したアヤ人形。矢口監督は「亡くなってしまった娘の芽衣に似せた、等身大のリアルな人形にしたかったんです」と明かし、「撮影中はアヤ人形につきっきりで、どのアングルがアヤを妖艶に見せられるかばかり考えていて、俳優さんよりもアヤ人形に対する指示のほうが多かったと思います。長澤さんは嫉妬しているかもしれないですね(笑)」と振り返る。
人形のヒントとなったのは、江戸時代から伝わる日本の細工人形で、等身大の人間をリアルに模した“生き人形”。そこにビスクドールや球体関節人形のイメージも取り入れて作られている。こだわりのポイントは、生身の人間と同様、顔が左右非対称となっていること。それによって角度の違いで表情も変化して見え、長澤も瀬戸もその変化に「表情豊か!」と絶賛。実際に、矢口監督とともに世界各国の国際映画祭をめぐった際にも、アヤ人形は各地を満喫しているような表情を見せている。
このたび到着した新たな場面写真では、お札のような紙が貼り付けられたガラスケースに収められていたり、ぬいぐるみやおもちゃたちに埋もれるように置かれていたり、徐々に謎が明かされ呪禁師の神田(田中哲司)が持ってきた箱に収められていたりと、どことない薄気味悪さと悲しさに包まれたアヤの姿が確認できる。すでに作品を体験した観客から大反響を集めているアヤ。是非とも劇場に足を運び、彼女のゾクゾクするほどの怪演を目撃してほしい。
文/久保田 和馬