アラン・リックマンとの思い出エピソードも!映画「ハリー・ポッター」のグラフィック担当、ミナリマに制作裏話を聞いてきた。

アラン・リックマンとの思い出エピソードも!映画「ハリー・ポッター」のグラフィック担当、ミナリマに制作裏話を聞いてきた。

映画「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」シリーズで数々の印象的なグラフィックを手掛け、魔法の世界観を生みだしてきたグラフィックデザイナーのミラフォラ・ミナとエデュアルド・リマによるグラフィックデュオ「ミナリマ」。

開業2周年を迎えた「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」(以下、「スタジオツアー東京」)では、映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)の公開20周年を記念して、9月8日(月)までの期間限定で特別企画「炎のゴブレット」が開催中だ。そこで、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を中心とした映画制作時の裏話やスタジオツアー東京でのグラフィックアートの楽しみ方、さらに日本が大好きだという2人にクリエイター目線で見た日本のデザインに対する想いなどを聞いてみた。

「『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では違う国の要素をホグワーツに持って来られたことにワクワクした」(リマ)

Tシャツがかわいい!ミラフォラ・ミナ(左)とエデュアルド・リマ(右)
Tシャツがかわいい!ミラフォラ・ミナ(左)とエデュアルド・リマ(右)

——映画シリーズ4作目『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の制作で思い出に残っていることを教えてください。

リマ「『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は他校の生徒たちがホグワーツ魔法魔術学校にやってくる物語だったので、違う国の要素をデザインできたことがすごく楽しかったです。ブルガリア(ダームストラング専門学校)やフランス(ボーバトン魔法アカデミー)、それぞれの国の要素をホグワーツに持って来られたことにワクワクしました」

——細部へのこだわりの強さなど、シリーズのファンの熱量は非常に高いと思います。それだけに楽しい思い出だけではなく、大変なことも多かったと思いますがいかがですか?

ミナ「半々くらいです(笑)。デザインをしているなかで、存在していないものを白紙の状態から作るという作業はとてもチャレンジングでした。自分たちが作りあげていくもののストーリーが見えてくる瞬間はすごく楽しいので、そういったことはよく覚えています。私たちはファンのために作っているし、ファンがどんなことを愛して、どんなところに情熱を感じているのかを理解すればするほど、それに応えたいという想いが強くなります。まるで対話をしているような感覚です。先ほどファンの持つ熱量のお話がありましたが、まさにそれをとてもダイレクトに感じていました」

制作裏話をたっぷりと語ってくれた
制作裏話をたっぷりと語ってくれた

——スタジオツアー東京の特別企画「炎のゴブレット」で見ることができるデザインやアイテムについて、具体的に印象に残っているものはありますか?

ミナ「シリーズ3作目までは、紙や装飾、タイポグラフィをメインに参加していましたが、『炎のゴブレット』からは、より3Dというか、拡大したイメージのデザインを考えてほしいと言われました。そのうちの一つがゴブレットです。さらにゴブレットのケースや金の卵、優勝杯の制作に携わって、私たちにとっては新しいチャレンジになりました。ゴブレットの展示は、生きているような感じを持たせたかったので、木の幹を感じるようなデザインにしています。コブのような部分にも注目してほしいです」

「ゴブレットから飛び出す羊皮紙は“燃やす”前提で用意。何百というバージョンを作って大変でした」(ミナ)

ゴブレットから飛び出す、出場選手の名前が書かれた羊皮紙。キャラごとに個性のあるデザインに
ゴブレットから飛び出す、出場選手の名前が書かれた羊皮紙。キャラごとに個性のあるデザインに

——ゴブレットから炎が上がり、名前の書いた羊皮紙が出てくる演出もすてきでした。

リマ「あの紙にはすごくこだわりがあります。登場キャラクターの個性を表すために、例えばフランスのヴィンテージショップで調達したリボンを使ったりしています」

ミナ「ご存知のように、映画の小道具はなにかあった時のために多めに作ることが多いんですが、今回は“燃やす”前提でもあったので、数を求められました。完璧な状態のものから、半分くらい焼けているものなど。いろいろなバージョンを何百…と用意して、本当に大変でしたね」

——『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を境に、シリーズとしてはシリアスなストーリーが展開していきますが、グラフィックデザインを担当するうえで、意識的に変化したことはありましたか。

ミナ「ここからトーンをダークにしよう!といったことは特になかったです。シリーズを通して常にキャラクターが主導していくデザインを意識していました」

リマ「途中から少しダークになっていったとは思うけれど、やっぱり中心にあるのはハリーの道のりで。ダークになっていくからこそ、デザイナーとしてはより色彩を加えたり、なにかを付け足す余地を与えてもらった気がしています。だから僕たちはバランスをとるために、クィディッチ・ワールドカップではあえてカラフルにしてみたりしました」

クィディッチ・ワールドカップのデザインや衣装はカラフルにしたという
クィディッチ・ワールドカップのデザインや衣装はカラフルにしたという


関連作品