アラン・リックマンとの思い出エピソードも!映画「ハリー・ポッター」のグラフィック担当、ミナリマに制作裏話を聞いてきた。
「役割分担は毎回、殴り合いで決めています(笑)」(ミナ)
——お2人には役割分担があるのでしょうか?
ミナ「毎回、殴り合いで決めています(笑)」
リマ「アハハハ。5作目くらいまでは2人でやっていましたが、そのあとアシスタントが加わってチームになりました。僕はレイアウトが好きなので、『日刊預言者新聞』などを担当することが多くて、ミナはカリグラフィが得意なのでそういうものを担当する感じ。特に役割を決めなくてもなんとなくできあがっていくんですよね。あともう一人、『ミナリマ』の3人目のスタッフが一緒にデザインしていたことに後から気がつきました。作っている当時は認識していなかった存在だけど、なにかデザインを始めて数日が経過したら、お互いに交換しあって、その続きをまたお互いで作っていく…。つまり、共同で作るものが増えている感じです。線引きのようなものがないからこそ、オーガナイズされたような形でやることも多かった記憶があります。いろいろなことがデジタルでできるようになっていったので、技術を学びながら、手書きでも作っていました。若い人からは『手書き!?』と驚かれることもよくありました(笑)」
——スタジオツアー東京のメインショップ内にある、ミナリマの魅惑的な世界を体験できるショップ「ハウス・オブ・ミナリマ」は、ロンドン本店のイメージそのままの印象で外観も店内も惹き込まれます。撮影ポイントもたくさんありますが、お2人のおすすめは?
ミナ「ロンドンのお店をそのまま東京に持ってきたような感じで、外観から再現しました。サイネージも伝統的なガラス職人さんと一緒にこだわって作っています。あとは暖炉。ミナリマの関連ショップにはどこにでも暖炉があります。劇中のように、暖炉を通して世界中がつながっているような感覚を楽しんでほしいですね」
リマ「スタジオツアー東京内はどこもすばらしいので、どこで撮ってもすばらしい写真になると思います。僕たちの作品が展示されているグラフィックエリアもすばらしいけれど、やっぱり大広間は鳥肌が立ちました。すべてはここから始まったんだなって感じがして」
「日本のデザインに深いリスペクトを持っている」(ミナ)
——富士山や桜など日本らしいデザインのアイテムも販売されています。日本のデザインとの相性をどのように感じていますか?
ミナ「シリーズに関わる前ずっと前から、日本のデザインに関する書籍もたくさん持っています。1900年代のデザインが中心で、日本のデザインは参考にしていますし、深いリスペクトを持っています。広告とかマッチ箱とかポスターのデザインにとても興味があります」
リマ「シンボルとか、アイコンもね!僕たちが惹かれるのは装丁やテクスチャーが多いです。本の作り方も含めてデザインに惹かれるので、そういったグラフィックのテクニックを“いい意味で”模倣しています。それは、『ハリー・ポッター』シリーズに限らず、ほかのデザインにおいてもです」
——先ほどシンボルとおっしゃいましたが、家紋のようなものにもご興味はありますか?
ミナ「まさに、家紋です。なにがすてきって、ストーリーが感じられること。家紋には家族の歴史が語られていますよね。私たちがデザインでやろうとしていることに通じるのですごく惹かれます」
リマ「振り返ると、ホグワーツに日本の学校のデザインを入れられなかったのが残念ですね。三大魔法学校対抗試合のお知らせには“日本”が入っています。いつか日本の要素を入れたいと願っていた僕たちの想いが無意識に出ちゃったのかな」