小栗旬が映画『フロントライン』で考えた真実を知ること、見極めの大切さ。「ちゃんと疑わなきゃいけないってことなのかな」

小栗旬が映画『フロントライン』で考えた真実を知ること、見極めの大切さ。「ちゃんと疑わなきゃいけないってことなのかな」

「役者という仕事はまだまだ僕にはわからないことだらけです」

本作を通して、真実を知ること、見極めの大切さについて改めて考えさせられたという小栗が、いま、知りたいこと、興味を持っていることはあるのだろうか。「『アドレセンス』というドラマを観たばかりというのもあって、子どもたちが生きる社会に非常に興味があります。自分が思っている以上に、大変な社会を生きているんだなと思いました。彼らが生きていく社会は僕らがわからないことだらけなんだなと。例えばSNSもそう。生まれた時から当たり前にあるものだし、彼らの世界で比重を持っていることも理解できる。やるなとも言えないし、かといってどっぷり浸かってほしくもない。作品を観た直後なので正直、子どもが大きくなるのが怖くてしょうがない」と顔を覆い、親の顔を見せる場面もあった。

「正解がないから答えが出ない。役者のおもしろさであり、わからなさでもある」と笑顔を見せていた
「正解がないから答えが出ない。役者のおもしろさであり、わからなさでもある」と笑顔を見せていた[c]2025「フロントライン」製作委員会

胸を張って届けられる自信作であり、作品を作れたことを誇りに思っていると語る小栗。撮影現場では結城として、そして役者・小栗旬としていろいろなことを考えたという。「俳優という仕事は、どんなに考えても答えが出ない。正解がないことだから、いつになっても答えが出ないし、それを追い求めている限りは俳優でいるんだろうなとも思っています。そこに興味がなくなったら、もう俳優を離れる時という気もしています。今回の現場は『お芝居をする!』とか『情熱的にやる!』というのとはまた違ったんですよね。やりがいを感じて終わるような瞬間が、実はほとんどなくて。すごく印象に残っているのは船の上で立松と電話をするシーン。ワンカットで撮ったシーンだけど、撮影はさらっと終わってしまって(笑)。もちろん準備はたくさんして現場に入ったのだけど、すぐにOKが出て、『え?もう終わり?』みたいな。


答えを追い求めている限りは「役者」を続けていると明かした、小栗旬
答えを追い求めている限りは「役者」を続けていると明かした、小栗旬[c]2025「フロントライン」製作委員会

でも、増本さんを筆頭に、すごくいいシーンだったという声もたくさんもらっている。僕の手応えと観た人の反応が合っていないから、やっぱり役者ってわかんないなって改めて思いました。逆にやりがいを感じた時ほど、ダメな芝居だったこともたくさんあるしね」と苦笑い。役者として考えたことに対しての明確な答えは出ないままだが、考えることを積み重ねてきた結果、生まれたマインドがあるという。「自分に期待しないのが一番って思うようになりました。自分に期待しちゃうと、なにかあった時にものすごく落胆しちゃうじゃないですか。あんまり期待していなければそんなに落ち込まなくて済むし、そういう時ほど褒められたりするんですよね。役者という仕事はまだまだ僕にはわからないことだらけです」。

取材・文/タナカシノブ

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