変わり果てた風貌のニコラス・ケイジが狂気をまきちらす『ロングレッグス』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、ニコラス・ケイジがシリアルキラー役に挑んだホラー、人気アニメ「モノノ怪」の劇場版第2弾、1999年を舞台にした少女たちの愛と友情の物語の、バラエティに富んだ3本。
観る者を予想もつかないところへ連れて行く…『ロングレッグス』(公開中)
過去30年にわたって10の家族が惨殺された事件。目撃情報も、外部からの侵入者の痕跡もなく、唯一の手がかりは現場に残された暗号メッセージ。そんな謎だらけの未解決事件を出発点とする本作は、ホラー、スリラー、ミステリーといったジャンルの要素が混じり合い、観る者を予想もつかないところへ連れて行く恐怖映画だ。
FBIの捜査チームに抜擢された新人女性捜査官がシリアルキラーを追うという“ありふれた”設定なのだが、主人公リー・ハーカー(マイカ・モンロー)の行く手には次々と異常な事態が待ち受ける。事件解明の鍵を握るのは、暗号文の差出人でもある人形師のロングレッグス。この怪人を変わり果てた風貌で演じたニコラス・ケイジがまきちらす狂気に加え、これが長編4作目のオズグッド・パーキンス監督による独創的な演出、脚本が、本作を“見たことのない”衝撃作へと押し上げている。第三の重要キャラクターである“母親”の存在にも注目!(映画ライター・高橋諭治)
繰り広げられる骨肉の女のバトル…『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』(公開中)
斬新で美麗なグラフィックによって繰り広げられる、妖怪退治譚の第二章『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が公開。女たちの謀略が渦巻く大奥を舞台に、無念の死を遂げた女中から産み落とされた、モノノ怪=唐傘を見事討ち取った妖怪退治屋の「薬売り」(声:神谷浩史)だったが、モノノ怪による脅威はまだ消え去っていなかった。
今作では、保守派の大友ボタン(声:戸松遥)と急進派の時田フキ(声:日笠陽子)が世継ぎ問題で対立するなか、フキに嫉妬心を燃やしていたサヨ(声:ゆかな)が発火、焼死する事件が発生。大奥では20年前に火事で死んだスズ(声:杉山里穂)の怨念ではないかと噂が広がる。薬売りはモノノ怪=火鼠の仕業だと見破るが、その本体を見つけることができずにいた。
モノノ怪の本体は、一体誰の中に巣食っているのか?また、真実に隠された“優しさ”とは。繰り広げられる骨肉の女のバトルは、背筋も凍る恐ろしさ。火鼠とのバトルシーンは、圧倒的なグラフィックによる誰も見たことがない表現で、スピーディーかつスリリング。さらに美しく怪しくパワーアップした、前代未聞の妖怪退治譚をお見逃しなく。(ライター・榑林史章)
ティーンエージャーたちの苦悩と喜びを丁寧に見せる監督の演出も印象的…『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』(公開中)
運動部内での理不尽な暴力やマイノリティに対する視線が現在よりも苛烈だった90年代末の韓国を舞台に、お互いを見つけたことで生き抜く強さを身につけていく10代女性たちの姿を描く青春ドラマ。
中学生の視点から90年代を振り返った名作『はちどり」(18)で主人公の姉を演じていたパク・スヨンが、テコンドー部の理不尽なコーチによって翻弄される高校生ジュヨンを瑞々しく見せる。少年院出身者の家庭体験プロジェクトで彼女の家にやってくる同い年のイェジ役は「イカゲーム」への出演で大きく注目され、ドラマ「力の強い女カン・ナムスン」で主演俳優の仲間入りを果たしたイ・ユミ。女性同士の初恋を含め、ティーンエージャーたちの苦悩と喜びを丁寧に見せるハン・ジェイ監督の演出も印象的だ。(映画ライター・佐藤結)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼