笑福亭鶴瓶&原田知世が語り合う、理想の年齢の重ね方『35年目のラブレター』夫婦役は「お互いしか考えられない」
ある夫婦の実話をもとに映画化した『35年目のラブレター』(公開中)で、夫婦役として共演を果たした笑福亭鶴瓶と原田知世。主人公の一途さや、彼を支え続けた妻の強さとやさしさを、鶴瓶&原田が鮮やかに体現。関西弁での掛け合いも心地よく相性のよさを感じさせる2人が、夫婦の育んだ温かな絆を見事にスクリーンに刻み込んでいる。本作の夫婦役を演じるのはお互いしか「考えられない」と口を揃えた鶴瓶と原田が、共演の感想をはじめ、理想の年齢の重ね方を語り合った。
「西畑夫妻の奥さんは、ホンマにすごい人」(鶴瓶)
読み書きができないまま大人になってしまった主人公の西畑保。そんな彼のそばにいつも最愛の妻、皎子(きょうこ)がいた。保は貧しい家に生まれ、ほとんど学校へ通えずに大人になり、生きづらい日々を過ごしてきたが、皎子と運命的に出会い、めでたく結婚した。どんな時も保に寄り添い、支えてくれた皎子。保は妻への感謝のラブレターを書きたい一心で、定年退職を機に一大決心をして夜間中学に通い始める。少しずつ文字を覚えていく保だがなかなか思うようにいかず、気づけば結婚35年目。ラブレターがようやく形になろうとしていたころ、皎子が病魔におかされてしまう。主人公の保を鶴瓶、その妻を原田、夫妻の若かりしころを重岡大毅と上白石萌音が演じ、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(08)、『今日も嫌がらせ弁当』(19)の塚本連平が監督を務める。
――楽しい時もあればつらい時もある人生を、寄り添いながら生きていく西畑夫妻。鶴瓶さん、原田さんはお互いに向ける眼差しや笑顔からも、夫妻の絆を体現しています。西畑夫妻にはどのような印象を持ちましたか。
鶴瓶「脚本を読んで、夫婦のあり方や2人の本心がうまいこと書いてある作品やなと思いました。この夫婦には、質素なことが幸せやと思える気持ちがある。保は字を書かれへんけれど、妻がそこにちゃんと寄り添ってくれるんですね。字が書けないというのは、いろいろな時代を生きていくうえでもとても大変なことです。それをすべてサポートした奥さんは、ホンマにすごい人やと思います」
原田「どこか母のような気持ちで保さんを見つめている皎子さんは、かわいくて、柔らかくて、それでいてしっかりとした芯と、包み込むような愛を持った女性。保さんもとても情の深い人で、真面目さとピュアな部分で共鳴し合っているようなお二人ですよね。お互いにとって『この人しかいない』と思える相手で、そういう人と一緒にいられることの幸せを感じています。幸せにはいろいろな形があると思いますが、保さん、皎子さんの姿から尊い愛を見せてもらったような気がしています」
――鶴瓶さんは、奥さん役を原田さんが演じると聞いて「ぜひ!」とオファーに喜ばれたそうですね。
鶴瓶「脚本を読んだ時には、皎子を誰が演じるかまだわからなかったんですが、本当に原田さんでよかったなと思うんです。キャスティングも、うまいこと選ぶなあと思いましたよ。もう原田さんしか考えられないし、僕は毎日『皎子に会いたいな』と思いながら現場に行くのが楽しくて。今日も会いたかったです(笑)」
原田「ありがとうございます(笑)」
鶴瓶「萌音ちゃんから知世さんに受け継がれていくという流れにもまったく違和感がなくて、関西弁もすごかったですよ。原田知世流の関西弁を聞けるのは、ホンマによかったなあ。それに、例えば皎子が寝ているシーンであったとしても、見ていると『妻だ』という感情が湧いてくる。少し口幅ったいですが、夫を思ってくれる感じがうちの嫁に似ているんですよね。僕は結婚して50年経ちますが、人間ドッグに行くとなると『今日はこれしか食べられないからね』『朝はこれを飲んで』と嫁がきっちり用意してくれるんです。愛というか、介護ですね(笑)。現場でも、そんな妻といるような居心地のよさを感じていました」