「続編は考えられませんでした」山崎貴監督が明かす『ゴジラ-0.0』誕生秘話とキングギドラへのこだわり

「続編は考えられませんでした」山崎貴監督が明かす『ゴジラ-0.0』誕生秘話とキングギドラへのこだわり

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「原子爆弾投下の日の広島を再現することは、けっこう食らったし、辛い作業でした」

変わらぬ強烈なビジュアルで観客の心をつかむゴジラ
変わらぬ強烈なビジュアルで観客の心をつかむゴジラ[c] 2026 TOHO

昭和といえば、本作にはもう1つ大きなチャレンジがあった。それは昭和20年8月6日、つまり原子爆弾投下の日の広島を再現すること。クリエイターにとって大変な責任感を伴う作業となることは想像がつく。「広島の場面については相当、議論を重ねました。オブラートに包んだような表現はよくありますが、生々しいものはあまり見たことがありません。世のなかから戦争の記憶が薄れていって、気が付けばそれを隠そうとしている風潮さえある。僕らは戦争を体験された方から直接話を聞いた最後の世代かもしれない。実際のあの日の広島がどうだったのか?これはいまやっておかないなといけないんじゃないかと思ったんです」。山崎監督はクリストファー・ノーラン監督と対談した際に、「『オッペンハイマー』に対する日本人側の返答のような作品を作ってほしい」と言われたというが、本作はそのアンサーなのかもしれない。

大切な娘を守るため、敷島と典子が下す決断とは…?
大切な娘を守るため、敷島と典子が下す決断とは…?[c] 2026 TOHO

「実際に広島に行き、高校生たちが戦争体験者の話を聞いて描いた絵を見せてもらいましたが、そこからインスパイアを受けました。彼らのように当時のことを学ぼうと思えば学べるけれど、普通に生活していればそこにはなかなかたどり着きませんよね。そういう要素がゴジラの世界のなかにあったとすれば、観た方が広島を思い出してくれるんじゃないか?そうと決めたら、表現者としては逃げてはいけない。本当に生々しいものを作らないといけない。作っている最中も僕自身、けっこう食らったし、辛い作業でした。作り終えたいまでも怖いし、正しいことをしたのかどうかもわかりません。それでも、僕らが子どもの頃に読んで衝撃を受けた『はだしのゲン』のようなトラウマは大事だと思っています。ゴジラの映画を見て、不意討ちのようにそれを食らうのも、体験として大事なんじゃないかと考えています」。そもそもゴジラは核兵器の産物として設定された怪獣であり、シリーズのいくつかでは裏テーマにもなっている。本作における原爆のシーンが物語にどう絡んでくるのかは、その目で見て確かめてほしい。

昭和の田んぼを再現するのが大変だったという山崎監督
昭和の田んぼを再現するのが大変だったという山崎監督撮影/杉 映貴子

前作『ゴジラ-1.0』はアメリカでも大きな反響を呼び起こしたが、日本の観客との反響の違いについても尋ねてみた。「ショックだったのは、アメリカがまだ戦争をしている国であるという現実を突きつけられたことです。敷島はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えているキャラクターですが、アメリカの観客の方は“こういう人、たくさんいるんだよ”と。僕らは過去の物語として戦争を撮っていますが、アメリカは現在進行なんですよね。そこに大きな衝撃を受けました」。

『ゴジラ-0.0』は前作と同様に、敷島とその疑似家族のドラマを核において物語を転がしていく。彼らは戦争の傷跡を克服できるのだろうか?ゴジラやギングキドラによる、さらなる“戦争”にどう対峙するのか?山崎監督の強力な意匠に触れながら、このスペクタクルを体感してほしい。


取材・文/相馬学

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