「続編は考えられませんでした」山崎貴監督が明かす『ゴジラ-0.0』誕生秘話とキングギドラへのこだわり
邦画では異例の全世界1億ドル突破という興行収入を計上し、第96回米アカデミー賞では視覚効果賞を受賞するなど、グローバルに話題を広げた『ゴジラ-1.0』から3年。待望の続編『ゴジラ-0.0』がベールを脱いだ。前作から2年後の昭和24年、倒したと思われたゴジラが生きていて、戦後の混乱が収束しつつある日本を再び蹂躙する!
神木隆之介、浜辺美波、吉岡秀隆ら前作の主要キャストが再結集し、ゴジラを食い止める戦いを熱演。そして監督・脚本・VFXを務めるのは、もちろん山崎貴。前作でゴジラによるパニックをスペクタクルとして描きながら、終戦直後の日本人のドラマを緻密に築きあげ、賞賛の声を集めたのはご存じのとおり。そんな山崎監督に、続編に込めた想いを聞いた。
「神様のようなものが襲来してくるような、そんな感じを出したかったんです」
3年という長い期間を経ての続編だが、企画自体は前作が作られた頃から静かに動き出していた。「僕自身は前作を作り終えたとき、やりきったと思ったので続編は考えられませんでした」と、監督は振り返る。「初号試写の後、“続編があったほうがいいよね”という雰囲気が周囲で盛り上がってきたんです。それで、公開日の2023年11月3日に、正式に続編を作ることが決まった。それからファースト・プロットをひと月ほどで作り上げました」。
今回はゴジラに加えて、キングギドラというもう1体の巨大怪獣が登場。山崎監督が子どもの頃から好きだったという怪獣で、映画で描くのは念願でもあった。もちろん、キャラクターデザインにはこだわりが宿る。「神様というか、神の鳥に見えるようにしたかったんです。火の鳥や鳳凰は尾や尾羽が長いじゃないですか。翼膜のようなものも大きくして、神様のようなものが襲来してくるような、そんな感じを出したかったんです」。
全体像もそうだが、観客の心に恐怖とともに焼き付くのは、ゴジラと同様に“目”だ。「CGモデリングの田口(工亮)くんは、どうしても人間っぽい目にしたがるんですよ。個人的にはゴジラらしい半月型の目にしたいんですけど(苦笑)。ただ、これはこれでいいと思えたのは、知性が宿るからです。とくにギドラには一筋縄ではいかないずる賢さがありますからね」と、山崎監督は語る。神のような存在感は、この怪獣たちの目力からも発せられているのだ。
「典子がゴジラサイドの女性なので、ギドラのことを考える女性を置いたらおもしろいと思いました」
ギドラの登場に合わせて、本作にはもう1人重要な人間のキャラクターが加わった。長澤まさみ扮する気象予報士、青山だ。「前作に続いて登場する典子(浜辺美波)は、良くも悪くもゴジラサイドの女性キャラクターです。なので、ギドラについても、その存在についていろいろなことを考える女性を置くのはおもしろいアイデアだと考えました。ギドラは昔から暗雲や雷のイメージがありますし、それならば気象を研究する人を置こうということになったんです」 。ギドラの行動パターンを研究し、対策にあたる彼女の頭脳的な活躍にぜひ注目してほしい。
彼女や作戦チームの案に則って航空作戦が実行に移され、主人公であるパイロット、敷島(神木隆之介)らが空へ飛び立つ。今回もこの航空アクションは大きな見どころ。前作では主に洋上が舞台となっていたが、本作では山崎監督の故郷である長野県松本市の上空という設定で展開する。「松本の上空のかなり高いところにドローンを飛ばして、全方位を撮影しました。現代の建築物が多いことは覚悟していましたが、いちばんの問題は、田んぼが昭和のものとはまったく違うことでした。きれいに区画整理された田んぼが、どうにも嘘くさく見えてしまった。一度作ってみてから、“やっぱり田んぼを変えたい”とお願いしました。変えていくと、どんどん昭和の風景になっていくんですよ。おかげで敷島が自由に空を飛び回れる、当時の感覚が生まれたと思います」と、過去に多くの作品で昭和の風景を再現してきた山崎監督ならではのこだわりが生きたシーンとなっている。
