『ストリートファイター/ザ・ムービー』が北米1位デビューも、映画界の話題はA24新作ドキュメンタリーが独占!?
先週末(10月16日から10月18日まで)の北米興収ランキングは、日本生まれの対戦格闘ゲームの金字塔「ストリートファイター」をハリウッドで実写映画化した『ストリートファイター/ザ・ムービー』(日本公開中)が初登場でNo. 1を獲得。映画界の話題は2位に初登場を果たした『You Can See Everything』にすっかり奪われてしまったが、ここでは先に『ストリートファイター/ザ・ムービー』の成績から詳しくチェックしていくことにしよう。
3575館で公開を迎え、週末3日間の興収は3077万5377ドル。同じように日本産ゲームを実写映画化した『バイオハザード』(日本公開中)が1ヶ月前に6000万ドルを超えるオープニング興収をたたき出したことを引き合いに出すと物足りなくも見えるが、まずまずの大健闘。5月に公開された『モータル・コンバット/ネクストラウンド』(26)のオープニング興収3850万ドルには及ばなかったが、非フランチャイズのアクション映画としては今年初のNo. 1獲得ということになる。
「ストリートファイター」の映画化作品といえば、過去にはジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の1994年版や『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』(09)があるが、目も当てられない成績に終わった後者はいったん忘れておこう。前者の北米累計興収は3300万ドルで、全世界興収は9900万ドル超。今作は公開5日目に1994年版の北米興収を抜き去っているが、全世界興収はまだ5500万ドルほど。8000万ドル以上という制作費をどこまで回収できるだろうか。
2位に初登場を果たした『You Can See Everything』は、“シリコンバレー史上最悪の詐欺事件”と呼ばれた「セラノス事件」の被告であり、医療ベンチャー企業「セラノス」の創業者エリザベス・ホームズの収監直前に密着したA24製作のドキュメンタリー映画。855館という決して多くない上映館数かつ3時間近い長尺の作品ながら、都市部を中心に満席になる劇場が続出。3日間の興収は1560万1418ドルを記録している。
1000館未満の作品としては、837館でオープニング興収2645万ドルをあげた『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)以来20年ぶりの大ヒットであり、ドキュメンタリー(アーティストのライブドキュメンタリーを除けば)『華氏911』(04)以来の大成功。特に興味深いのは、観客のおよそ7割が35歳未満という点。これは劇映画さながらにネタバレ厳禁を呼びかけるA24の戦略が奏功したものといえよう。
作品評価も爆発的に高く、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価も観客からの好意的評価も97%。来年の第99回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞の最有力との見方が強まっており、一部では作品賞ノミネートもあり得るとの声が。これまでアカデミー賞でドキュメンタリー映画が作品賞に候補入りを果たした例は一度もない。歴史を変える快挙が見られる可能性は、非常に高いのではないだろうか。
文/久保田 和馬
