クラシック・モンスターからSF、ヒッチコックまで!「ひつじのショーン」最新作が公開となるアードマン作品に散りばめられた映画オマージュたち
サイレントコメディからSFまで幅広くカバーする「ひつじのショーン」
この「ウォレスとグルミット」と並ぶアードマンの代表作が、このたび新作が公開される「ひつじのショーン」。テレビシリーズやスピンオフのほか長編映画がこれまで2本作られており、『かぼちゃ畑の怪物!』が3作目となる。
『映画 ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』(15)は、ショーンが自由な時間を手にするため、牧場主をトレーラーの中に眠らせておくイタズラを考えるが、トレーラーが都会へと走りだしてしまい、その後を追って都会へと足を踏み入れるという物語。
ひつじはもちろん、人間もセリフを話さず、映像や表情といったニュアンスで物語るこのシリーズはサイレント映画的な側面があり、リチャード・スターザック監督曰く、テレビシリーズからバスター・キートン的身体ギャグやジャック・タチなどを参考にしてきたそう。本作もコメディアングループのキーストン・コップスにオマージュを捧げている。
また、動物管理所でエリザベスカラーをした猫がズルズルと音を立てながらショーンたちを見ているシーンは『羊たちの沈黙』(91)を想起させるほか、動物を捕獲員のトランパーが捕獲棒を鏡に向かって構える姿はまんま『タクシードライバー』(76)。トランパーが「プレデター」さながらに暗視ゴーグル越しに動物を追いかけるなど、映画をパロったギャグ連発の映画好きにたまらない1本だ。
続く長編第2弾『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』(19)は、牧場に宇宙人の女の子ルーラが迷い込み、宇宙人を狙うエージェントから逃げながら、彼女を家族のもとへ帰そうとショーンたちが奮闘するという、もろに『E.T.』(82)な物語。『E.T.』の月をバックに自転車で宙を駆けるシーンをはじめ、SF映画へのオマージュ、小ネタがてんこ盛りだ。
例えば、UFOからルーラが降りてくる際の『未知との遭遇』(77)的演出をはじめ、ショーンが頼んだピザの箱には油で『メッセージ』(16)のような象形文字が。ショーンとルーラが訪れるスーパーの店名が『銀河ヒッチハイク・ガイド』(05)にちなんで「ミリウェイズ」となっていたり、「メン・イン・ブラック」シリーズ的風貌のエージェントが乗るトラックが変形するロボットは『ロボコップ』(87)のED-209を彷彿とさせるなど、SF映画ネタの宝庫となっている。
ハロウィンが舞台の最新作ではホラーを中心にオマージュ!
「ひつじのショーン」劇場版最新作となる『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』。本作ではハロウィンの準備に浮足立つ牧場に正体不明の毛深い怪物が現れるなか、牧場主が行方不明になってしまう騒動にショーンたちが直面する。
インスピレーション源はユニバーサル・モンスターズやハマー・フィルムのホラー。ショーンがかぼちゃを急速成長させるための薬の開発実験を行ったことから大騒動が起こるという「フランケンシュタイン」的物語や、もじゃもじゃ怪物という「狼男」的要素など『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』のセルフオマージュとも言える。
さらに『サイコ』を彷彿とさせるシャワーシーンのギャグなど、アードマンお得意のヒッチコックも炸裂。さらに『ゴーストバスターズ』(84)、『グーニーズ』(85)、「インディ・ジョーンズ」シリーズなど、スティーブ・コックスとマシュー・ウォーカー両監督が親しんだ80年代の映画も参考にしており、これまで同様、映画ファンの満足度の高い1本に仕上がっているようだ。
今回紹介した代表作以外にも、レイ・ハリーハウゼンにオマージュを捧げた『アーリーマン 〜ダグと仲間のキックオフ!〜』(18)など、子どもやファミリー層はもちろん、大人も大満足のクオリティを誇るアードマン作品。そのなかでも映画好きにはたまらない映画オマージュの数々を、『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』が公開されるこの機会に、劇場でチェックしてみてほしい。
文/武藤龍太郎
