クラシック・モンスターからSF、ヒッチコックまで!「ひつじのショーン」最新作が公開となるアードマン作品に散りばめられた映画オマージュたち
「ウォレスとグルミット」などのストップモーション作品を中心に、良質なアニメを世に送りだしているイギリスのアードマン・アニメーションズ。今年でスタジオ設立50周年を迎え、10月23日からは新作の長編『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』が公開された。
かわいらしいクレイアニメが持ち味のアードマン作品だが、子どもはもちろん大人も楽しめるポイントも多く、特にうれしいのが随所に散りばめられた映画オマージュの数々。これまでの長編作品に散りばめられた映画ネタを、代表作から振り返っていきたい。
脱獄ものから潜入ミッションまで真逆の作品をオマージュした「チキンラン」
アードマンの長編1作目として2000年に作られたのが、ニワトリたちの活躍をクレイアニメで描いた『チキンラン』。イギリスはヨークシャー州、強欲なトゥイーディー夫人の養鶏場で囚人のような暮らしを強いられ、卵を産めなくなったら絞められるという非情な扱いを受けているニワトリたちが、外の世界への逃亡を計画する、意外にもダークな1作だ。
張り巡らされる有刺鉄線、粗末な木造小屋など、第2次世界大戦時の強制労働収容所のような養鶏場からの脱走という物語の枠組みからもわかるように、物語のベースは脱獄映画の金字塔『大脱走』(63)。リーダー的存在のジンジャーが独房の壁に芽キャベツを投げるシーンをはじめ、地面にトンネルを掘って脱走を試みる作戦など、随所にオマージュが散りばめられている。
また、ニワトリたちが作戦会議を行う“17号棟”は『第十七捕虜収容所』(53)を、頭脳派ニワトリのマックがかけるビン底メガネは『パピヨン』(73)のダスティン・ホフマンを彷彿とさせるなど、そのほかの脱獄映画ネタも満載だ。
ほかにも、養鶏場に新導入されたチキンパイ製造機のオーブンから脱出する際に、閉まりかける扉の下から滑り込み、ギリギリで落ちた帽子を掴み取るシーンは、お察しの通り『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)から。さらに『飛べ!フェニックス』(65)を思わせる間に合わせの飛行機など、様々な映画からの影響を感じ取ることができる。
なお、2023年の続編『チキンラン: ナゲット大作戦』は、前作で無事養鶏場から脱走し、島で平穏な生活を送っていたジンジャーとロッキーが、島から抜けだしナゲット工場に迷い込んでしまった娘モリーを助けだすため、再びトゥイーディー夫人と対峙するという内容。
脱獄ものだった前作とは逆に、「007」シリーズを彷彿とさせるヘンテコな敵の根城に忍び込んでいくという潜入ミッションものに。サム・フェル監督が「チキン:インポッシブル」と呼んでいたそうで、罠が張り巡らされた厳重なセキュリティをニワトリたちが攻略していく様は「ミッション:インポッシブル」シリーズのよう。スパイ映画や「オーシャンズ」シリーズといったケイパームービーの影響も感じられる。
またニワトリたちが暮らす島のインスレーションは 『猿の惑星:創世記』(11)のセコイアの森から着想。ジンジャーが潜在意識で苦しめられているトゥイーディー夫人のもとへと足を踏み入れざるを得ないという展開は、「エイリアン」シリーズのリプリーを参考にしたそう。『トイ・ストーリー』(95)を思わせる車の運転シーンなど、元ネタ探しが楽しい1作だ。
